STONE さんの感想・評価

3.2
物語 : 2.5 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態：観終わった

悪役万歳

　原作は未読。
　作画が素晴らしかった。基本的な絵はいかにも今時のアニメ風だが、
夢とうつつの差を印象的にするためか、日常の風景が淡いタッチになって
いて印象的。
　また各々の夢につながるモチーフを、白日夢に至る前に描写したりの
工夫がいい。
　バトルシーンも緩急を付けた描写でなかなかカッコよく、敢えて体の
部分部分をクローズアップしたコンテもいい。

　シリーズ構成に関して、うまくまとめられており、水着回のような
ファンサービス回か、と思われるような回でもストーリー的に重要な回で
あったりして、無駄な回が無かったのも印象的。
　ただ、話数が少ないためか、メリーと夢路がコンビを組むようになって
から、すぐに夢魔との戦いに疑問を持つような展開になっており、少しは
何も考えずに夢魔と戦うようなオーソドックスなバトルもののような回が
欲しかった気持ちもある。
　夢魔達は夢を通じて、人間を器としてやってくる。そのため誰が夢魔の
器なのかすぐには判らないといったミステリー的要素もあり、その辺も
楽しめた。実際、器だったキャラ以外にもトラップ的に胡散臭いキャラが
多かったし。

　バトルものとして見た場合、この作品の一番良かった点は悪役である
ミストルティン。
　肉体を駆使するバトルものに関して、主人公のやっていることは結局の
ところ暴力である。この暴力の使用にどれほど納得性があるかは、悪役の
存在感が大きい。
　ミストルティンが最高に憎々しかっただけに、最終回におけるバトルは
本当に溜飲が下がった。
　また最終バトルで勝利に至るきっかけはこの作品を貫くテーマに起因
するというところも、個人的には評価が高い。

　ただ、この作品は原作が連載中ゆえに、未消化なものがだいぶ
残っちゃった。
　真のラスボスであるエルクレスはそのままだし、本来の目的である
メリーを夢の世界に帰すという行為、最終バトルで廃人同様になってしまった千鶴の始末、夢路の内部に存在するジョン・ドゥの存在に関してなどなど、この手の他の作品以上にひどかった。