STONE さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
泣くだけに終わらない
初回から「泣ける日常系ファンタジー」になることは想像できたが、
「可哀想な幽霊を助けてあげる感動ストーリー」以上の魅力に溢れた
作品だった。
めんまのお願いを叶えるために奔走する超平和バスターズの面々だが、
結果としてそれぞれが心に負った傷を癒されることになり、逆にめんまに
救われたことになる。
これも他人のことを第一に考えるめんまだからこそ、なしえたこと
だが、そんなめんまが最後の最後に自分の希望を口にしたことがなんとも
泣かせる。
幼い頃の仲良しグループはやがて自身や環境の変化により、自然に
縁遠くなっていくことが多く、それゆえに懐かしい思い出となりえるが、
超平和バスターズの場合はめんまの死によってフリーズしてしまった。
そのため時が流れても遠い思い出になりえず、未だに現実感のある負の
要素として残っていたのだろう。
この作品の一件によって、止まっていた時の流れが再び動き出した。
現実問題として、過去に囚われずにそれぞれの道を歩んで行くだろうし、
それはやがて超平和バスターズも次第に思い出に転じていくことになる。
この一件はある意味、超平和バスターズの解散式であるようにも思える。
ファンタジー色のある作品であるが、安易にめんまが生き返るような
ことはなく、めんまを含めて絆を取り戻した超平和バスターズもやがて
終わっていくことを感じさせる。このほろ苦さを持った結末はある種の
潔さが感じられ、それがこの作品の魅力だと思える。
キャラの心情の描き方は素晴らしいが、心の傷を見せるような描写は
ある意味痛くもあった。割と感情が表に出やすいじんたん、あなる、
ゆきあつはともかく、序盤は淡々した態度であったつるこ、表面上は
いつも笑顔が耐えなかったぽっぽが、中盤から終盤において本当の
気持ちを見せる過程は見事。
心情表現に関しては、言動、動作、行動だけではなく、小道具を
使った演出が効果的だった。各キャラの個性を象徴したマグカップ、
ゆきあつとつるこの気持ちを象徴したヘアピン、じんたんとあなるが
再びつながりを持ったことを示したゲームボーイ(らしきもの?)の通信
ケーブルなどなど。また小道具ではないが、電車なども心情表現に一役
買っていた。
また、単に人間ドラマとしてよくできていただけでなく、「めんまの
お願いとは?」、「めんまが死んでしまったあの日、何があったのか?」
といったミステリー要素を加味しており、エンターテイメント性にも
優れていたストーリーだったと思う。
正直、設定に関してはツッコミどころはなかったわけではなく、
序盤からめんまの存在を示すことは簡単にできたはず。ただ、この作品に
限らず、個人的にはストーリーやキャラが魅力的だと多少の粗は気に
ならなくなります。