「凪のあすから(TVアニメ動画)」

総合得点
90.4
感想・評価
6474
棚に入れた
25630
ランキング
53
★★★★★ 4.2 (6474)
物語
4.2
作画
4.4
声優
4.2
音楽
4.2
キャラ
4.2

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ネタバレ

OZ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

潮風薫る恋の童話

構成 岡田麿里さん× P.A.WORKS
『true tears 』を彷彿させる組み合わせに惹かれ
キャッチしてる人達の評価も高いので観てみたら
予想以上の面白さでお気に入りとなった
2013秋~2014冬に掛けて
2クール放送された恋愛ファンタジー作品

■潮風薫る恋の童話■
陸と海を舞台に
透き通る水の青さや背景の綺麗さに魅力され
早くもその世界観へと引き込まれてしまった。

2部構成になっており
幻想的な物語の中に組まれた意外性は
「なんか 怒涛の展開だよね」と
第14話でさゆが発した言葉通り
2部が始まる14話目以降は怒涛の展開で
5年の月日の差が生み出した
心と身体のズレから織り成す恋愛模様は
思いもよらないシナリオを以って驚かせてくれた。

間の空け方やテンポの良さに加え
次回への引きの上手さから
30分を飽きさせない構成は見事である。

作品の雰囲気に重ねた
前後期OP&EDは勿論の事
劇中BGMも隙が無い音楽面。

中でも前期ED曲「アクアテラリウム」
イントロからEDに入る流れは美しく
それだけでじわぁっと目が潤んでくる。

続いて後期OP「ebb and flow」
「ebb」は引き潮 「flow」は流れ
タイトル通り"潮の満ち引き"を感じさせる
届きそうで届かない想いをのせた歌詞は
映像と相まって飛ばせないOPの一つ。

『凪のあすから』の"あすから"って
明日からの意味合いもあるのだろうけど
海が約70%を占める
水の惑星と称される青い地球
"Earth Color"とも掛けてあるんだね。

潮風の香りが伝う陸と海の物語は
まるで人魚姫を思わせる
淡い恋心で作られた童話の様だ。

■ 好きは、海と似ている■
”人を好きになる事”がテーマの今作品。

好きになれば良い事ばかりじゃないし悪い事もある。
辛い気持ちや哀しい気持ちもついてまわるけれど
その分 痛みを分かち合い 人に優しくなれる。

例え実ろうとも 実らなくても
経験を糧に成長していく。

だから 人は人を好きになる。

押し寄せる波と感情は一緒だ。
ある時は凪の様に穏やか
またある時は波風を立てる様に激しく
恋をするとほんの僅かな事で一喜一憂する。

第25話のサブタイトルに使われた
『 好きは、海と似ている。』

まさにその通りなのかもしれないね。

■「良い子です」そして「ありがとう」■
お気に入りの場面は沢山あるが
特に感情を揺さぶられたのは
第24話「デトリタス」で
さゆが要に線路越しの告白をする場面。

ちさきに想い寄せていた要にとって
自らを「蚊帳の外」と卑下する様に
5年の月日は取り返せない現実になっていた。

自傷行為にも近いちさきへの優しさは
彼自身をも傷つけていく。

そんな彼を救ったのは久沼 さゆ。

かつて おじょしさまを壊し
「良い子です」と要に
頭を撫でられた頃から5年が過ぎ
憧れに似た幼い恋心は
14歳の恋へとハッキリ形を変えた。

想いを告げるべく要に向き合うさゆ。
二人の間を5年の歳月と踏切が遮る。

「悲劇のヒロインぶるな!」

ずっと遠くにいた憧れのお兄さんは
今や同じ歳の男の子へと近づき
大人ぶった顔の裏側にある痛みを
気付けるまでに彼女は成長した。

「あんたに子供扱いされないように
 あんたにちゃんと 女の子として見てもらえるように」

「あんたがいない間もあんたはここにいた
 ちゃんと この真ん中にいた」

胸を押さえ 涙ながらに
精一杯の想いを彼女は口にする。

想いが届いたのか
答える様に涙が彼の頬を濡らす。

「ホントは淋しかった 地上に戻ってきて
 光にはあかりさんの家族がいて
 ちさきには紡の家族がいて
 僕の事 誰も待っていてくれなかったんじゃないかって」

「さゆちゃんの事 これからちゃんと見てみる
 ちっちゃな女の子じゃなくて同じ歳の一人の女の子として・・・」

心からさゆに『ありがとう』と告げ
何時もと変わらない要の優しい笑顔があった。

「良い子です」と
子供扱いされていたちっちゃな女の子は
同じ歳の一人の女の子になり
二人の間にあった時間の壁は
上がる遮断機と共に無くなり
遠回りした想いがやっと届いたのだ。

何度観ても胸に響くこの場面は
文句無くベストシーンになったね。

■あとがき■
名作を観終わった気分で
久し振りに終わってしまうのが寂しくなる程
全26話を余すことなく楽しめたよ。

実写では表現しきれない
【アニメだからこそ描けた作品】
これが高評価に繋がった大きな要素だったな。

汐鹿生(しおししお)とか鷲大師(おしおおし)とか
ネーミングセンスが面白かったね。

キャラクターの使い方も上手く
陰のヒロインは潮留 美海だったな。
サブキャラとして観ていたのだけれど
始めと終わりで最も印象が変わったよ。

「どっかいかないで」
ガム文字で悪戯していた頃は
メインキャラになるなんて思いもよらなかった。

幼い頃から光に惹かれていた美海。
最後まで光への想いは成就する事無かったが
振り返ると美海の物語だったと感じるね。

唯一気になったのは
エナを持つ人物が最終的に多くなったところ。
美海はまだしも紡までとは!?
紡のエナは無くても良かった気がするかな。

綺麗な幕引きだったので
続きは無いのだろうけど
OVAでも良いから
スピンオフなり番外編で
彼等に再び会いたいものだね。

レビュー100作目って事もあり
出会えて嬉しく思うのと同時に
制作に携わった方々へお礼を言いたい。

本当にお疲れ様です。
素敵な作品を作ってくれてありがとうございました。

満足度 ★★★★★★★★★★ (10)

投稿 : 2014/06/09
閲覧 : 750
サンキュー:

97

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