manabu3 さんの感想・評価
3.0
物語 : 2.0
作画 : 4.5
声優 : 2.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
風刺アニメに似たなにか
2011年の福島原発事故の影響により鑑賞。放射能の危険性を説いた作品かと思いきや、十三話を通して織り成すのは女子高生による能力バトル。放射能汚染という設定は何の為にあったのだろうか。映像は非常に綺麗だが色彩の多さで誤魔化してる印象も受ける。この作品の目的の一つは、登場人物が語るように人の愚かさと政治家批判を描くことだろう。そして、主人公が語るように「難しいことは分からない、ただキレイな空が見たいだけ」、そういった現実逃避と友情物語。伝わってくるものは多くなかった。
批判
{netabare}政治家批判をするのは結構だが、政治家を選ぶのは国民であるし、これまでの政治家を選んできたのも国民である。政治家を愚かと呼ぶのなら、同様に国民も愚かに等しい。政治家を貶して風刺作品を気取っても、内容が伴わなければただ滑稽なだけだ。政治家批判をするのならば、もう少し真っ当な主人公を描くべきだろうし、然るべき主張をすべきだろう。(作中の世界がどうだか知らないが)主権が国民にあるこの国に於いて、それでも尚、主人公は「わからない」という言葉を繰り返す。主人公は高校生であり、世の中わからないことばかりだから、それはそれでいいのかもしれない。しかしそれは思考停止に他ならない。「キレイな空が見たい」のならば「わからない」では済まないのが今の世の中だ。そして当作品が批判する政治家が営む政治についても考えなくてはいけないのが民主主義国家の宿命だ。アリストテレスはこの作品のような世界を衆愚制と呼んだ。ひょっとするとこの「ぼんやりとした風刺アニメのような」作品の存在こそ、今の民主主義も当作品同様に衆愚制だと言える一つの根拠なのかもしれない。{/netabare}