erimingo さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
心に残る、良いアニメ
こういうアニメこそ心に響いてくる。
人類補完計画で人々の心の壁であるATフィールドが取り除かれ、みんなが1つになる。
現実世界における他者とのコミュニケーション、自己の承認欲求の問題は当時の時代性からいうと、とてもリアルで生々しく実感されたのだと思う。
そして補完計画によってそれらの苦しみから解放されるというのは、視聴者にとってもエヴァの魅力的なキャラクターやかっこいいロボットなどのエンタメ的な部分に熱狂し、興奮し、溺愛し、依存していく状態をメタ的に表現しているだろう。
そこで終わればこの作品にはアイロニーが込められているといってもいい。しかし物語の結末はシンジ君が遂に内面的成長をとげ、補完を拒否し現実を生きることを決意するのである。だが現実は厳しくもはやシンジとアスカしか残っていない。二人は決して互いを完全に理解し合うことなくされどなんやかんや生きていくだろう。これは視聴者に対する強烈で、かつものすごく前向きなメッセージだと感じた。
ちなみに最後のアスカのセリフ「気持ち悪い」。
こういうところがまさに生々しくて現実味があってとても好きだ。
やはりアスカは良いキャラクターである。
膨大なSF設定と物語、そして魅力的なキャラクター、ロボットを引っさげ、それを最高品質の演出で魅せながらも最後は内面的、実存的問題へと帰着していく。アニメってこんなことまで表現できるんだ、凄いと思わせてくれる作品。