さいれんとふぉれすと さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
梅雨です。言の葉の庭です。
梅雨の季節はあまり好きじゃないって人は多いんじゃないでしょうか。
かくいう私もそうです。
でもこの映画を観て、私はちょっぴり雨が好きになりました。
ストーリー:4
雨が降った朝は、学校へは行かずにあの場所へ向かう。きっとあの人に会えるから。
とてもシンプルな、少年と大人の女性の淡い恋物語です。私はろくにあらすじも読まないで観たのですがすんなり理解できました。前向きで爽やかな余韻を感じます。
ただ逆に言えばそれはストーリーに奥行きがないとも取れます。作品として成立するのに充分な描写はされてますが、私はもう少し主人公の家庭環境について広げたりしてもよかったかなと思います。
そして、このアニメでは秒速5センチメートルと同じく明確な答えが提示されません。それが悪いとは言いませんが、私はそろそろ分かりやすい大団円が観たいです。
作画:5
新海誠監督のアニメは本当に絵が綺麗ですね。私はこれまで何度もその美しさに驚かされて、もう分かっているはずなのに、やっぱりまた驚かされました。
まず雨の表現が凄いです。アニメーションでリアルな雨を描くのはかなり大変だと思うのですが、小雨からどしゃ降りの雨まで本当に自然。雨の匂いまで伝わってくるようです。
そして今作で驚いたことがもう一つ。それは人物の描き方です。これまでの新海作品を観てきて、私はいつも背景に対して人物が少し浮いているような印象がありました。しかしこの言の葉の庭では、人物がしっかり美しい背景と調和しているように感じます。それだけ背景に遜色なく見事な作画でした。
もちろん背景だって素晴らしいの一言です。満点をつけることに何の疑問もありません。
パーフェクト!
音楽:4.5
雨の表現は何も作画だけで決まるものではないですよね。
そう、音です。傘を叩く雨粒、遠くで響く雷、吹き荒ぶ風。効果音がどれも良かったです。
また主題歌「Rain」がとてもいい曲でした。大江千里さんの曲を秦基博さんがカバーしています。原曲が発表されたのは1988年ということで、これは私が生まれる前。やはりこの映画で初めて知りましたが、こんな素晴らしい名曲と出会えたことを私は嬉しく思います。起用した監督にも感謝!
キャラクター:4
主人公のタカオは靴職人を目指す15歳。夢に向かって努力する彼はかなり大人びて見えます。
ヒロインのユキノは仕事をサボって朝から新宿御苑でビールを飲む27歳。タカオに比べると、むしろ彼女が15歳に思えるほど柔らかく繊細な雰囲気を持っています。
私はこの年齢とちぐはぐな設定が好きです。
楽しさ:3
まあ楽しいってアニメではないです。でも何度でも観たい、観れるアニメだと思います。
上映時間も46分(!?…正直短すぎる)ですから、いつでも気軽に楽しめます。
そうですね、できれば雨の日に。ビールとチョコレートを用意して:)
総合:4.5
ストーリーが薄いとかキャラクターが弱いとか、人によっては物足りなさを感じるかもしれせん。
ですが私は、このアニメ映画は確実に、観る価値があると思います。
言の葉の庭。必見です。