退会済のユーザー さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
世の理、偽りの平和と闘う、勇気の物語
よく再放送していましたが、一部の若い女の子向けかな?と思っていました。他の方のレビューを読んで、すごく面白そう?!と思ったのと、漫画版をチラッと読んだ所、結構ジトジトしてそうで良さそうだったので観てみました。
亡きミステリアスな妹の復讐のために暗躍する兄である少年と、たったひとりの友人で幼馴染の主人公。
久しぶりに会った少年は不思議な傀儡を手にしており、島流しにあった魔法使いと通信できるという。同時に街は世紀末の様相を呈してゆき、キーを握るのは魔法使いの一族のようで…。
魔術を使うのに条件があり、錯覚を利用した頭脳戦なところもあり、面白かったです。
魔術で飛んだりするの、爽快ですね。非科学的で説明つかないじゃないと言われそうですが、身ひとつで戦う勢いって好きです。
キャラクターの眼つきの表情の描き方が、とても力が入っているなぁと思いました。単にカッコいい鋭い眼つきってだけでなくて、色んな感情がこもっていて、いかにもしてそうな、ねじ曲がった顔つきなんかもよかった。
私にも若い女の子向けを楽しめる素養があったのだろうかと錯覚しそうでしたが、多分、若い女の子じゃなくても楽しめる作品だと思われます。takarockさんもレビューで絶賛しておられましたし。
魔法使いの仕える「はじまりの樹」と「絶園の樹」はウルトラQに出てきそうなデザインで、後半その役割が判明してもウルトラQチックでした。どちらの発展を選ぶかと言われれば、自分なら面倒臭がりな日和見だから…はじまりの樹じゃないかなと思いながら観ていました。偽りの平和に抗え、という展開は勇気があるなぁー。
心理戦、魔法使いさんが無人島に居る間の展開はとても息を飲む緊迫感でした。
12、3話を超えるころには、壮大な世界の浮き沈みの話が少人数でまかなわれている感じが濃厚に。もともと、世界が滅ぶかと言っているところに些細な十代の個人的問題をわざと持ってくるような点もあり、そのギャップが面白かったです。
段々と少人数性が板につき、よく言えばキャラクターがそれぞれ立ってきて、おせち料理囲む回などもあり、ギャグ味が出てきました。
オープニングも、初めの頃の触るもの皆傷つけるガラスの十代な雰囲気から、14話からは和やかなポップな恋愛ものに。
男どもの真剣会議(でも井戸端会議のような議題…)はおかしな状況で、三谷幸喜作品のようでした。
会議にいない女達は全てを知っていて。
硬派キャラのサモンがぐねぐねした紫背景で苦悩するシーンは初めの頃からツボだったのですが、もはや作り手としてもネタと化しているようでした。
「それぞれの正義なんて、立場が変わればただの悪い冗談よ。要は、君自身が何のために闘うのか。それだけ決めときなさい?」
なにかと不二子気取り?な半端美女フロイライン山本さん。セリフが年の功でしたが、この人の生き方は謎でした。
それぞれの立場の範囲で燃焼し、足りない勢いは他のキャラクターが焚きつけて頑張る。耽美ルートにまとめられそうになると、中盤になって登場した {netabare}絶園の魔法使い {/netabare}が頼りなげながら成長と熱血をみせる。
キャラクターの掘り下げ方、その世話焼きぶりが、なかなか楽しかったです。
最後までキャラクターの成長をしっかりみせて、初めの頃とは打って変わって爽やかに締めてくれました。
大島ミチルさんの楽曲も壮大でよかったです。