takekaiju さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
斬新な演出と爽快なアクションが印象的
物語の舞台は架空の江戸時代。
天涯孤独の少女フウは、放浪の剣客ムゲンとジンをお供に「向日葵の匂いのする侍」を探す旅に出る。横浜から江戸、そして長崎へと至る道のりで巻き込まれ、ときには自ら飛び込む事件や出来事を現代文化風に描いている。
この作品単体で観るよりも、同じ渡辺信一郎監督つながりで『カウボーイビバップ』も併せて観ると対比できて面白い。ビバップがジャズ、ブルースを取り入れた西部劇調のドタバタ劇であるのに対して、サムライチャンプルーはヒップホップなどのクラブ音楽と現代の若者文化をミックスしている。一見正反対に思える要素を掛け合わせて独特の雰囲気をつくり出すのが、この監督はうまいと思う。
ストーリー構成は基本的に一話完結か二話完結で、それぞれ泣ける話であったり敵に同情してしまったり、滑稽なギャグや落ちを含んでいたりするところはビバップに似ている。また、手に汗握る躍動感溢れるアクションシーンも特徴的。特に第一話、フウの働く茶屋でムゲンとジンが暴れるところなどは、一瞬一瞬の攻防に目が離せずそのめちゃくちゃな闘い方はこの作品の方向性を何よりも印象付けてくれる。終着点の見えない展開でありながら、いつの間にか落ちているところなど見事の一言!
加えてこの作品の最も印象的なのは、総集編の活かし方がうまいところだ。
他の作品で多いのはそれまでの話を振り返り、だいたい一クール分を一話で紹介するだけでストーリーを知っている人にとっては消費回以外の何物でもない。が、サムライチャンプルーの場合、振り返りという総集編でありながら新たな切り口で語られるため通常の一話と同じくらいに面白い。というか、この総集編が一番面白かったと言えるかもしれない。
第十二話「温故知新」がそれにあたり、ムゲンとジンがフウの日記を盗み読むという形態で、そこまでのストーリーをフウの視点で描いている。淡々とした日記の語り口調は新鮮で、食べ物に関する記述が多いのもフウ視点ならではでいい。
全二十六話すべてに捨て回がなく、新しい演出を模索しているところを評価したい。