ゼルミナ さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ゼロ年代が遺した最も美しいエッセンスの一つ
一幅の絵画のように美しく完成した名作。
もし、未見なら迷わずに鑑賞することを強くおすすめします。
…そして可能なら原作ゲームもプレイしてみてね♪
ゼロ年代に花開いたPCゲーム文化。
その数々の名作のうち一つに「AIR」が入るのは異論の余地がない所だと思うが、それだけに、アニメ化と聞いた時に、僕は不安感を覚えたものである。
―まだ「京都アニメーション」の名が自分の可視範囲内になかった時代の話である。
結果として、第一話でその不安は完全に払しょくされた。
もう、モニターの前で土下座ものでしたよ。
原作プレイ済の方は判ったと思うのだが、観鈴との出会いシーンがテキストに準拠する形で展開しているのには感動…ッ!
もちろんん、単になぞっているワケではなく、アニメ表現として美しく構成されているからこその感動なのだが。
原作ではテキスト(小説で言えば地の文)で伝えられる往人さんの感情の動きが表情で表現される部分も秀逸。
そうかと思えば、原作では無かったシーンや、数行で語られたエピソードを膨らませたシーンなどが織り込まれ、情報量の多い作品をよくぞここまでアニメという別表現にできたものだと感心するしかない。
その結果、原作未プレイでもストレスなく鑑賞できる作品に仕上がっているのではないだろうか。
絵的にも美術監督・美術設定の鵜ノ口穣二による「古き良き日本の風景」とでも言うべき町の風景は素晴らしいの一言。
ここに折戸伸治をはじめとするKey音楽がのるのだ…いや、キャラいなくても涙にじみますよ、マジで。
物語に関する話はPCゲームを論ずる場にゆずるべきだと思うが、とにかく
「ゲームであること」を前提とした様々な「仕掛け」を切り捨てることなくアニメ演出として盛り込んでいる所は流石の石原立也と感嘆する。
(ネタバレ抜きだとこれが精一杯だなぁww)
声優陣の芝居も本当に素晴らしい。
もともと「おおぅ」と絶句するほど豪華キャストなのだが…。
その中でもヒロイン役の川上とも子さんは難しいキャラクターを「演じきった」という感じです。
もちろん、久川綾、田村ゆかり、神奈延年…って、全員あげるしかなくなるのでこんなもんでww
泣くことだけが「感動」ではないし、「泣ける」というのが至上の評価とも思いはしないが、本作以上に涙した作品はほとんどない。
もー画面見えないくらいに滂沱滂沱滂沱でしたよwww
末尾で恐縮ですが、川上とも子さんのご冥福をお祈り申し上げます。
素晴らしい演技で、いつも勇気づけられました。
本当に、本当にありがとうございます。