退会済のユーザー さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:今観てる
動物人生相談室
1973年作品。
土曜日の朝8時からファミリー劇場にて二本立てで放映中です。
昔、アニメの背景を仕事にしている人が、「現在のアニメはいかにその作品のオモチャを売るかがテーマです。」と言っていて、なにやらガッカリ、と同時に納得でもありました。
この作品は全くそういう感じじゃないですね。多分当時でもキャラクターで何か売る路線はあったと思われますが、これは「お話」をみせることが目的な印象です。
(→検索したらファンサイトを見つけました。昔のグッズとして、懐かしのアルマイトのお弁当箱は紹介されてました。)
森に住む動物たちが、チョッキやら帽子やら身につけており、彼らはよく喋ります。ご近所の有様を噂したり、推測したり、知恵比べをしたりといった、人間社会のよーな七面倒臭いいざこざを繰り広げます。
動物なのに言葉で表現する大切さ、態度の裏を感じとる事、他人への信用とは?、相手をたてる礼儀作法、自分の生きる領分とは…ナドナドが語られます。仁義の仕分けを感じます。あたかも、渡る世間はロッキーチャック。
声マネ上手な鳥が、みんなの痛いところをつく批判を吹聴して、森じゅうがギスギスして諍いになるとか…
いつも追いかけられる動物が捕食相手を懲らしめてやろうとワナにはめるのですが、思いもよらず別の動物が酷い目に巻き込まれてしまい、それを放っておいて逃げた君の責任や良心はどうなんだ、ええ?と迫られるお話とか…
いつも池にいる爺さんカエル、狭い世界にしか居ないから了見が狭いんだ、ケチくさいんだ、世界の可能性を知らないんだと言われ旅に出るが、酷い目にあい…
心配して探しに来た森の仲間は、どうやったら爺さんの自尊心を傷つけずに助けられるかと気を揉み…とか
人間的な投影がされてるから、捕食の関係とかあんまり気にしなくていいのかな〜などと気を楽に抜いていると、たまに動物的な本能の描写が導入され、やっぱり動物なのかよっ!とハラハラするところもあります。
そこから得た教訓のような皮肉のような安堵のようなものをそっと一輪、最後に添えてみせる紳士的な品のよさに、一体この世界は何なんだろう…どこに連れて行くんだ…という不思議な気持ちをこだまさせられながら、エンディングに耳を傾けるのでした。自然の中の動物の不自然な暮らしなのに人間社会的には自然…
人間社会も弱肉強食な面もありながら日々はある程度普通に過ごせて、しかし過信してると不条理が襲って来るワケで、ある意味とても現実味があるかも…しれません。
たまに子供向けだったことを思い出させるかのように、ミュージカル的な側面を見せます。オリジナルな歌を突然流暢に歌い出す。お腹が空いて〜もうダメだ〜♪、みたいな心情を豊かに歌いあげたり、わたしゃおんがーくかもりのこりす、みたいな自己紹介ソングを披露したり。
この独特の語りかける雰囲気と妙な説得力は、子供も大人も思わず聞き入ってしまうところがあるのでは。
ムーミン好きな人はこれもイケるかもしれません。しかし可愛くないとイヤな人は、駄目かもしれません。まつげは盛ってあるよ?!