ranice さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
時代が英雄を生む、英雄が時代を作る
原作未読。
アニメ本編全110話、一話一話の内容が濃く、台詞も長いが、脚本と構成のお陰で、無駄がなく、簡潔明瞭。
絵柄はちょっと古いが、キャラデザインは綺麗で、作画のレベルも高い方だと思います。
アニメの娯楽性だけでなく、その有益性も証明する傑作です。
中高生にとってはいい政治入門教科書、大人にとっては良い批判的思考の訓練になる。
その壮大な世界観と対照的な人物設定をもって、現実世界における敏感な政治・歴史問題を避け、様々な命題の議論を行う。
個人的には一番の醍醐味は「(名君による)最良の専制政治」VS「(愚衆による)最悪の民主政治」、「民衆の多数が民主主義ではなく独裁を望む」というパラドックス、「民主政府における軍隊の位置、権力と権限(軍国主義の批判)」と「正義の解釈(ひとつの正義に対して、逆の方角に等量等質の正義が必ず存在する)」です。
政治以外、倫理、生死、情欲などあらゆる価値観について、その膨大な登場人物数を生かし、物事をいろんな角度(例:加害者VS被害者、貴族VS農民、討伐軍VS反乱軍/革命者)から論理的・感性的分析し意見を述べ、結論を視聴者に委ねる。
なぜ面白いか、それはキャラクターの主張の定義は明白で、論点は根拠があって有力なもの、例えも上手いからである。
二人の主人公の性格も魅力的で、特にヤンはアニメでは滅多に見られないキャラ。
見て損しないじゃなく、見て絶対得するアニメです。