bana-g※更新減 さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.5
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
タイトルで損している。あと主人公の比企谷八幡、お前も損しているよ。
これって本当にラノベ原作?
やはり俺の青春ラブコメは間違っている。
待て、間違ってるのはタイトルだろ。
タイトルで損している。あと主人公の比企谷八幡、お前も損しているよ。
本作を高く評価しているレビュワーの大半は視聴後にこうした感想を抱くのではなかろうか。
だって見どころはどう考えてもラブコメ要素じゃない。
地球の大気がほとんど酸素から成っていると思わせといて実は窒素かよ!みたいな。
コンテンツの主要部分を占めるもの、醍醐味、見所、
本作を他のラブコメアニメとは一線を画する作品足らしめているのは、そこじゃない。
『展開のリアリティ』
現実でよく起きるような展開だからからリアル? 違う。
換言するなら、生々しさ。それも肌で感じるようなリアルの描き方が上手い。
それはひとえに、主人公「比企谷八幡」の特殊な(=英語で言えばSpecial/何か優れてるっぽい)キャラクター性に起因している。
スペック的には高く、鋭すぎる観察眼、ぼっちに似つかわしくない行動力、卓抜した説得力に加え、トレードマークは腐ったお目々。
でも腐った眼だからこそ本質が見えるし、最底辺を知っているからこそ発言が薄っぺらくない、痛み苦しみにも寄り添える。
トラブルを前に、そんなある意味で高校生離れした特殊な八幡の出す答えだからこそ、生々しく、ひねくれていて、でも新鮮に映るのだ。
いじめ問題、人間関係のもつれ、どこの高校生でもそれなりに直面する諸問題をテンプレ通りに解決したら普通は嘘くさくなる。
女子が次から次へ投入されーの、ことごとく主人公に好意を持たれりゃそれも当然嘘くさく。
でもそういう表面だけをサラリと撫ぜて、はい大団円!なんて陳腐な結末には飛びつかないところが作り手のこだわりだろう。
繰り返しになるが目を引くのはきっとラブコメじゃない。
だからタイトルが間違っているように感じるのだ。
だって、どうしたった印象に残るのは、事あるごとに「自己犠牲」をする八幡の姿だったから。
過去の辛い経験と卓抜した人間観察眼から言葉は鋭さを増し、これでもかと研ぎ上げられる。
人の心を抉ることが容易なほどに。でもそれは裏を返せば、人の心に響くという事に他ならない。
しかし視野の狭い者、未熟な者に彼の真意は上手く伝わらない。一見、人を傷つけただけの嫌な奴、に映ってしまう。「いずれ彼ら彼女らは真実を知る。」のだろうが、その過程でどうしても彼は悪者になる。
どうでも良いことには言い訳をするのに、大事な時には口をつぐんで自己犠牲。
これを単に「後味悪くて合わないね」で終わるか、「これこそ真骨頂だ」と捉えるかで作風が肌に合うかが別れる気がしてならない。
自分は、後者。他に類を見ない卑屈でダークで無気力っぽい表層に反し、なんて面倒見のいいおせっかいでいい奴なんだろう、と絶賛している。
と、まぁ、ラブコメなのにヒロインその他主要キャラには全く触れず、くどくどと主人公の印象描写に終始したわけだが、
個人的に比企谷八幡の"特殊"な言動、それにまつわる展開こそが見所なのでこれが魅力の全てだと思っているから問題ナシ。
ところどころ作画びみょーとの声を聞くものの自分は全く気にならないレベルだったので、まぁそこはお好きにという感じで。
一味違う学園ラブコメ?に出会いたい方は是非どうぞ。
P.S.
ヒロインはぶっちぎりで戸塚。異論は認めない。