ゼルミナ さんの感想・評価
4.9
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
原作通り、ではないが原作を大切にしている作品
小説とアニメは全く別の表現形式です。
―で、ある以上「全く同じ」にできるはずもないのですが、かと言って「アニメ独自の解釈」が大手を振ってまかり通るのも原作ファンとしては釈然としないものがあると思います。
根源的には解決不能であると思われるこの問題に、「Fate/Zero」は高いレベルで答えを出したと思います。
特筆したいのは「登場キャラクターに地の文を朗読させなかった」という事。
(正確には若干ありますが…ほとんど、という事でご理解ください)
キャラクターの心情描写や、世界設定に「地の文」という形でに紙幅を割くことのできる小説と違い、アニメにおいて同じことをできる媒体は実はありません。
とは言え、キャラクターの心の動きは視聴者に伝えないわけにはいかない…
「Fate/Zero」では、その辺りの「説明」を台詞ではなく、描写で表現しているシーンが多く、しかもほぼ成功していると思うのです。
(ネタバレは避けますが、原作既読でアニメを見た方ならピンときていただけると思います…そう、あそこですよ、貴方も泣いたでしょう?www)
しかも、ライトノベルの中でも情報量の多い「Fate/Zero」でそれをやってのけたあおきえい監督の技量は素晴らしいと思います。
物語的な完成度の高さは虚淵玄とTYPE-MOONのコラボ、という時点で解説不用かと。
そう言う意味ではゼロ年代のパソゲー文化の最も美しいエッセンスの一つだとおもってますので。
何をもって名作か。
議論はあるでしょうし、正解はないのでしょう。
少なくとも、僕個人にとっては「Fate/Zero」は名作と呼ぶにふさわしい作品です。