STONE さんの感想・評価
3.6
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
主人公のシンプルさが生み出す魅力
原作は未読。
異能力バトルものに関して、この作品が元祖というわけではないが、この作品に影響を受けた
ような後続の作品を輩出していることを考えると、スタンダードの一つになり得た作品なの
かなと思う。
他作品だとSF寄りの超能力ものや、ファンタジー寄りの魔術ものと分けられることが多い
中、この超能力と魔術を同居させる世界観は面白く、特に他作品では選ばれし者が使うことが
多い魔術というものを、超能力のない持たざる者が持てる者に抗する手段として編み出されたと
いう設定は興味深い。
キャラに関してはやはり主人公である上条 当麻が目を引く。
主人公というと最初から無双状態だったり、作品内で成長を遂げる違いはあっても、割と王道
的な力の持ち主が多い中、他者の異能を消すという特化した能力が印象的。能力それ自体は攻撃
的ものではないため、常人と同じく拳一発でケリを付けるというシンプルさはなかなか
いいんじゃないでしょうか。
相対する相手は決して悪というものではないパターンも多く、相手が大局的な思考の末に行動
しているのに対して、立ち塞がる上条は目の前で困っている人を放って置けないという直感的な
思考で行動。まあ、見方によっては何も考えてないとも取れそうだが、能力と同様にこの
シンプルさが上条の魅力なのかなと思う。
特に世界観や設定がそれなりに複雑ものであるため、それに相反するようにシンプルである
主役というのは印象的。
展開的にはサクサク進む感じがあり、このテンポ感はなかなか小気味いい。
ただ、これに関しては一長一短という印象もあり、キャラの心情やキャラ同士のやり取り
などの一種の溜めとも言える部分が少ないため、描かれるべき要素を飛ばされてしまった感じも
ある。これは原作から削られたものなのか、そもそも存在しないものなのかは判りませんが。
特にキャラのバックボーン描写が不足している感じが強く、アウレオルス・イザードの
インデックスに対する思い、このアウレオルスに利用された姫神 秋沙の本人が望まずとも、
能力が吸血鬼を殺してしまうことに対する感情、御坂 美琴のシスターズを生み出すに至った
経緯やその葛藤、「絶対能力進化実験」の残酷さを知りつつも、それに身を投じてまでレベル
6に至ろうする一方通行の信念など・・・、この辺を丁重に描かれていれば、もっとドラマに
深みが出たのかなと思う。まあ、尺の問題で致し方ないのかもしれないけど。
構成的には全体としての大きな流れというより、一つの事件を数話で描く形で、それ自体は
別に問題を感じないが、上条のパートナー的存在になったインデックスが序盤以降は単なる
賑やかし役になってしまったのはちょっと勿体ないかなとも思う。