kochiro さんの感想・評価
3.1
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 2.0
音楽 : 2.0
キャラ : 2.5
状態:観終わった
つまらないかもしれませんが聞いてください
「昔、アニメ制作はスポンサー側の制作サイドと作品側の制作スタッフに分かれていました。そして、作品の方向性やキャラクターの設定自体でさえ、よく対立していたようです。それももう昔の話ですが、採算の境界線を越えてしまうと、今でもモメ事の種です。」
「ああ、それでか。」
「事前に一報したい。でもそういうチャンネルがある人はあまりいないんです。」
「そこで、京都アニメーションの出番か」
「私が声優さんに連絡すれば、皆さん安心して作品に参加してくださいますから。」
「なるほど、さとしが名家と呼ぶわけだ。」
「そうでしょうか?」
「ん?」
「小さな世界じゃないですか。アニメ業界は、とても大きな経済界の中で。大御所と言われる声優さんの方々でも快くモブ役を引き受けていただき、凄いと思っていただける作品になるよう調整をしただけです。勿論、とるに足らないことだとは思いません。でも、大きなことだとも思わないんです。」
「そうかも、しれんな。」
「どんなことがあっても私の居場所はここ、ここなんです。私はこの業界にいることを嫌だとも悲しいとも思っていません。私は京都アニメーションとして、この業界の中で相応の役割を果たしたいと思っています。そのための方法をずっと考えていました・・・」
「方法・・ね・・・」
「2つあると思います。ひとつは『商品価値の高い作品を作ることで、みんなで豊かになる方法』もうひとつは『経営的な戦略眼で生産を効率化し、みんなで貧しくならない方法』。私は結局、前者を選ぶことにしました。」
「そのための作画向上か」
「はい」
「確かに、後の方はあまりお前に向いてない気がする。」
「本作品を通してわかりました。私、たぶん会社経営には向いていません。」
「そうだな、そう思う。」
「観て下さい本作品を、ここが私の居場所です。絵と音しかありません。人もだんだん老い疲れてきています。私はここを最高に美しいとは思いません。可能性に満ちているとも思っていません。でも、あなたに紹介したかったんです。」
そんなアニメの世界を紹介してもらえた本作品に感謝を。