くらうち さんの感想・評価
4.2
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
日本アニメの最高到達点
攻殻機動隊を見るにあたり、内容は映画版第一作と同じということなので、作画のクオリティーが上がっているであろう2.0を観ました。
特に放映時間を確認していなかったので、終わった瞬間、「え、これで終わり⁉︎」と思ってしまいました(笑)
根っこの部分はアニメ版と異ならないと思います。
機械の進化による、人間存在そのものに対する疑義です。
ただ、より描写は抽象的で複雑になっています。
生殖と死によってもたらされる多様性こそが、人間を人間たらしめる要素の一つであり、ひとつのウィルスで種が絶滅してしまうただの自己保存プログラムとの違い。
最後の戦場で壁に掘られた壁画。戦車の銃弾で幹がボロボロになりながらも、枝葉は保たれている。多様性とゆらぎを持った生物を象徴しているといえますね。
でも、人形使いが言うように、生物を定義できてるわけではないんですよね。
DNAすら情報にすぎない。このセリフには本当にしびれました。
今は、生身の体があるわけですから、人間と機械の区別になんの疑問も抱きませんが、これからの科学技術の発展によってはわかりません。素子が言うように、人はそれが可能であると知ると、実現せずにはいられないのですから。
ストーリーは難解ということはないと思いますが、観ていて気が抜けません。セリフに関しても、「え、なんて⁇」となることが多く、けっこう巻き戻しました(笑)
ストーリーを理解する上では、イシカワが荒巻に報告をするシーンを注意深く観るといいですね。
素子の心理を理解する上では、海に潜ったときのバトーとの会話を注意深く観るといいです。作戦そっちのけで人形遣いにダイブしようとしたのはなぜかがわかります。
素子は全身を義体化しているため、決まったビジュアルはないという設定だと思いますが、私はこの映画版の容姿が一番しっくりきますね。
何回見ても新しい発見がある、そして、このような先見的なテーマを20年も前に描いている点、ジブリと並んで海外で評価されているのも納得です。