セレナーデ さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ゆるさより、むしろ緊張感が隠し味
千秋が石蹴って下校する話で、ノスタルジーに押しつぶされて危うく死ぬところでした。
コンクリの溝蓋の隙間に入ってしまった時の今生の別れ感と一生の不覚感は半端ない。
てのはいいとして、感想的には「緊張感」が良い具合にスパイスになってるなー、と。
日常系と呼ばれる作品は大抵の場合、人間関係の変化のなさがゆるさや平穏さの主な養分になってることが多く、一時的に変化が起きたり、あるキャラの評判や名誉が地に落ちてしまったりしても、次の回やエピソードになると、それはリセットされたていたり、メタ的にある程度修復されていたりすることも。
そこのところみなみけの場合、ゆるい内容には違いないけど、人間関係の変化は継承される。
その変化というのは、時には誰かにとって、微妙に都合の悪いことであったり、少々こじれたものだったりする。まこちゃんの女装であったり、藤岡と南家との交友関係であったり。それがその時のエピソード限りで発生、消費されるのではなく、脈々と受け継がれていく。
ゆえに、小中高の各年代のキャラ達が南家宅に集うなどの際には、何かが起こるんじゃないか、その起こる何かによって、後の人間関係やキャラクター像に影響が出てくるんじゃないか、という独特の緊張感がある。
しょーもない事件でも、それがその場のみで消費されるのと、後に影響が出てくるのとでは、やっぱ漂う空気感は違ってくるわけで。いわばリセットが効かないスリルと言いますか。
そこが『みなみけ』という作品の旨み成分の元のひとつになってるのではないかと。ゆるさをベースにした、少しばかりの緊張感というほどでもない緊張感が、程よい按配にスパイスというか、隠し味になってると感じた。
いつもの日常が「巡ってこない」ことが面白みになってるみなみけは、日常系と呼ばれる作品群の中でも特殊なのかもしれない。
*
一方で、本作は4期まであるけど、緊張感の水準でいうと、シリーズを追うごとに低くなっていってる印象もある。登場人物の立ち回られ方や変化の引き出しをある程度使い切ったせいかもしれないし、リセット感が強くなったせいかもしれない。
4期の野菜のマインドコントロールの話とか明らかにリセットが要る内容だったし。