退会済のユーザー さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
何でだろう? 定期的に無性に見たくなる作品なんです!
落語という物は、分かり切っている「話」と分かり切っている「落ち」を楽しむ一面を持っています。
クラシックも、知っている「作曲家」の知っている「曲目」を楽しむ物になってますよね♪
すでに結果を知っている物を見返して「楽しめる」という場合をスポーツで考えると、「自分の応援するチームが自分の興奮する試合展開で自分好みの結果になる」場合くらいでしょうか?
大概の場合、試合を観戦する前に結果を知ってしまったら「試合の魅力は半減」してしまいますし、結果が分かっちゃったんだから見ないで良いやぁ・・・となりますよね!
すでに内容や結果を知っているにも関わらず、何度見返しても毎回楽しめるアニメ作品って、自分にとっては『名作』と呼べる作品なのでしょう!
落語やクラシックのように、演者の力量や演者の解釈の仕方やアレンジの仕方などによって、同じ演目でも全く違った風情になるもので、同じ演目なら、自と好きな落語家や好きな指揮者・好きなソリスト・好きな楽団などが出来るものです。
なぜその落語家や楽団が好きになったのか?を考えると、細かい点が複数思い浮かんで来る物と思います。
何度見返しても楽しめるアニメ作品には、自分好みとなる要素が複数存在する場合が多く、それは原作者の力であったり、制作会社や監督・各製作スタッフの癖や個性であったり、声優陣の力量であったりと様々でしょう。
自分が「あいうら」を何度も見返してしまう理由も「自分好みの要素が複数存在するから」に他なりません!!
まず触れなければならないのは、メインの声優陣ですよね!
この作品の評価が低い最大の要因が、メインの声優陣が「素人同然の棒読み」である事は言うまでもないでしょう・・・。
これで「評価を下げた・視聴を断念した」という人も多いと思います。
自分の中では、他の部分で高評価が多いので「本当に勿体ないなぁ!」と思っているのですが、何度も見返していると「この素人っぽさも良いかも?」とも思えてくるのが不思議ですよね!
まぁ、贔屓目で見ているからなんでしょうけどっ・・・(笑)
さて、背景好きの自分としては、背景を触れずにはいられないのですが、水彩画タッチの背景が作品の雰囲気にも合っていて好感が持てますよね!
特に注目して頂きたいのは2点!
まずは町並みの背景で、坂を題材とした「遠近感」の表現が実に素晴らしいです!
背景を担当しているのが『アトリエブーカ』なのですが、遠近法を駆使した町並み等の風景画が得意分野なのでしょう。
風景画になると「ズバ抜けて」良い背景になるのは、遠近感をより意識したアングルから描いた風景画が多いからで、写真や動画を見ながらではなく「実際に自分の目で見ながらの写生」を数多く経験しないと、あの表現はなかなか出来ないでしょう。
季節感や空気感をも感じさせる素晴らしい風景画で、風景画好きの自分にとっては大満足です!
あと1つは、色使いが良い所です!
光の濃淡を色彩で表現しているのですが、水彩画タッチの淡い色合いに光の濃淡をも描こうとすると、非常に面倒臭い上に個人のセンスも伴うので、思ってる以上に大変なんです。
残念なのは、担当している個人の癖が有り、良い物とそうでない物との差がハッキリと出てしまっている所でしょうか?
室内(教室内)の描写で、フリーハンドの時と違う時が有りましたし、油絵風の色の重ね方をして、ちょっと色が濃すぎるカットが有りました。
その表現方法は自分好みで素晴らしいと思うのですが、全体的なイメージの「水彩画っぽさ」からは若干離れてしまいましたね(汗)
紫やピンクを影の部分やアクセントに多様している所は、自分の中ではかなりの高評価です!
あからさまに手抜きと思える背景も有ったので、大絶賛とは行きませんが、自分がこの作品を気に入っている最大の要因は『背景』の良さです!!
美術監督の「金子 英俊」氏(アトリエブーカ)をはじめ、背景を担当した「柳瀬 志保」氏「百瀬 智子」氏「東 明美」氏、「川嶋」氏「谷川」氏、他の皆様!ありがとうございました!!
銀の匙や鬼灯の冷徹の色彩設計を担当した「茂木 孝浩」氏が本作も色彩設計を担当していらっしゃいますし、色指定の「土居 真紀子」氏も、茂木氏と共に銀の匙に参加していらっしゃいます。
作品全体の色使いの要なので、この作品の淡い雰囲気を作り出している「張本人」とも言える存在です!
雨や水をあえて「緑」で表現された手法には、正直驚かされました!
素晴らしいと思います!!
多くのアニメ作品が、途中から絵や動きが乱れ出してガッカリするのですが、この作品は監督の「中村 亮介」氏が脚本・絵コンテ・演出・原画までをこなし、キャラクターデザインを担当した「細居 美恵子」氏も総作画監督・作画監督・原画を担当するなど、少数精鋭体制で製作されている為、作画全体が安定していて安心して見ていられました。
メインアニメーターの「小木曽 伸吾」氏は、BLEACHや青の祓魔師の作画監督ですし、もう1人の「菊地 愛」氏は、未確認で進行形のキャラクターデザイン・総作画監督です!
原画に参加している「池田 早香」氏も、サムライフラメンコの作画監督ですし、「上田 恵未」氏も、荒川アンダーザブリッジの作画監督を経験していらっしゃいます。
原画に携わったのが上記6名のみなんですから、凄いですよねっ!!
1つだけダメ出ししてしまうと、5話目の教室で3人が絡んでるシーン(エンディングの前)のみ、結構目立つ乱れ方をしましたね(汗)
自分は、この「作画全体が一定以上の状態で安定している事」を特に重要視していて、作品の途中で断念する要因の第1位が「あまりにも酷い乱れ方をしたり、酷いまでは行かないけれども、明らかにおかしなシーンが続出したりする場合」なんです。
因みに、キャラクターデザインが自分好みではない作品は、1話目の冒頭で断念してしまいます(汗)
以前の自分の感想を読んで頂いている方々ならお分かりだと思いますが、自分は足フェチ(太ももフェチ)なんです!
この作品は、ボディラインの描き方が妙に生々しいのも特徴で、幼い部分や大人っぽい部分・肌のムチムチ感などを、ボディラインのみで描き分けが出来ている珍しい作品でもあります。
服に隠れてないからという事もあるのでしょうが、足のラインの描き方なんて凄いじゃないですか!(特に6話・7話)
ラインの描き方での表現は、ある一定レベルを超えると後は個人の「センス」ですから、『凄い!』としか言いようがありません!!
その生々しいラインに輪をかけて、生々しいムチムチ感をより演出しているのが「影」描き方なのですが、人間の骨格は元より筋肉や脂肪の付き方等も熟知してるであろう絶妙な影のライン取りで、他のアニメでは味わえない生々しさが実現しているのでしょう!
しつこい様ですが、原画・動画を担当した皆様!丁寧な仕事ぶりが好感持てました!グッジョブです!!
監督の「中村 亮介」氏と、キャラクターデザインの「細居 美恵子」氏のタッグによる次回作が楽しみでなりません!!
と言いながら、『魍魎の匣』や「青い文学シリーズの『走れメロス』」の作風やキャラデザは、自分の1番苦手なタイプなんですけどね・・・。
なので、両作品とも早々に視聴断念してます(汗)
『あいうら』のような作風やキャラデザのっ!ていう前提での次回作なら、凄く楽しみです!!
OP・EDにも触れなければなりませんよね♪
OPの「カニ☆Do-Luck!」
なんじゃこりゃ?ですよね!(笑) 何故「カニ」なのかは置いておくにしても、『まぁ耳に残る残るっ!!』
自分の傾向として、アニメのOP・EDに関しては、一風変わった曲調の歌を好む方なので、このOPは自分好みで大好きです♪
ED(挿入歌)の「ずっとね」
現在から未来に向けた「ずっとね」ではなく、未来の自分が過去の楽しかったあの頃を想いながらの「ずっとね」って感じがしてるのは自分だけでしょうか?
落ち着いた曲で何処と無く物悲しくも感じて、良い曲ですよね♪
総合的に出来は凄く良いと思いますし、日常系のアニメが好きな方なら高評価になってもおかしくはないと思うのですが、ショートアニメであった所とメインの声優陣が・・・って感じなのでしょうか?
自分は声優にはあまり感心を抱かない方なので、作品の評価に「声優の占めるウエイトが高い」という人が多い証拠なのでしょう!
自分にとっては、今後も定期的に見るであろう『お気に入り』の作品であります(笑)