takekaiju さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
完成度は高い
シリーズ第一作である今作では、巫条ビルでの連続高校生飛び降り自殺を中心に描く。関連性がないように思える連続自殺に興味を持った黒桐幹也はビルに近づいたのを機に意識を失ってしまう。大切な拠り所を奪われてしまった両義式は、彼を取り戻すために事件を探り宙に浮く少女たちに出会う。
ストーリー構成としては単純だが、この作品が凄いのは幻想的かつ伝奇的な雰囲気を醸し出しつつ独自の哲学思想と爽快な戦闘シーンを織り込んでいるところにある。
自殺の先に何を連想するか――
作中、蒼崎橙子が語りかける言葉であり、物語の根幹を為す重要なテーマだ。
自分が立つ場所と世界との乖離が自殺につながるとかうんぬん続くのだが、完全には理解できなかった。何よりも絶望からくる突発的な自殺衝動であったなら、黒桐はどこに連れて行かれたのか、宙に浮かぶ8人の少女たちはなぜ自殺する前から存在するのか、明かされていない謎が多く残っていた。
戦闘に関して、和服でありながらジャケットとブーツを履いてナイフを振りかざすというのは当時としては新しかった(と思う)。大胆な和洋折衷でありながら受け入れられたのは、面ではなく空間で表現するカメラワークによって、立体的に動きかっこよく見えたから。型も何もない剣術であり、自身の能力に頼った戦闘スタイルだが、式に合わせて動く構図の見せ方が躍動感溢れるシーンを見せてくれる。