takekaiju さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
心理描写の演出が素晴らしい
28歳の冴えない会社員と12歳年下で高校生の妹との恋の物語。
両親の離婚で離れて暮らしていた妹が学校の都合で同居するところから物語は始まる。
本当の兄妹の恋愛をここまで緻密に描いた作品は他にないと思う。
兄妹の恋愛を描いた物語は決して珍しいものではなく、ライトノベル系の作品や韓国ドラマなどでも見受けられる。あだち充の漫画『みゆき』でも同居する一つ違いの兄妹の恋愛が描かれるが、合法的なハッピーエンドにするためにはどうしても「本当の兄妹」ではない設定になってしまう。ところが、この作品は禁断の恋を真っ向から扱い、その上で否定していないところが変わっている。
現実にはありえないシチュエーションでありながら惹きこまれてしまうのは、禁断の恋への葛藤やそれでも恋する想いなどの心理描写が丁寧で音楽や構図といった演出がうまい具合に二人への共感を醸し出しているから。特に大人として断るべき立場の兄がそれでも妹の愛情を受け入れてしまう状況をつくるために、罪悪感や嫉妬、自己嫌悪、愛情と妹への感情が変化していく様がうまく表現されている。
最初から愛情があったわけではない。
事実、二人の出会いは兄妹としてではなく、ただの大人と高校生としてだった。年の離れた妹へどう接すればいいのかわからない兄と兄との生活を夢見ていた妹。最初はぎこちない関係だった二人が一つずつ相手を許し認め合っていくなかで、ふと愛が芽生えていた。
言葉にすればありふれた物語になってしまうが、合間に入るモノローグとピアノのBGMや無音の間によってそれぞれの感情に真実味が帯びてくる。