退会済のユーザー さんの感想・評価
4.2
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
テンプレ主人公と矢三郎
本作はタヌキ、人間、天狗の三つどもえを面白おかしく描いた作品でございます。
本作の主人公矢三郎は、タヌキ界の長の三男として生まれ、化けることと人格を評価されてはいるものの、本人は自覚なくぶらりとすごしている日常。そんなところにあれやこれはと、ぶらりと過ごしている暇もなくなっていくわけですが、
アニメの中で男主人公がどのくらい物語の役割を担っているかを、ふと考えてみると、基本立ち位置として女子達を輝かせる為に大体存在している気がします。見た目も大体同じ。運動能力や頭脳も至って普通。(俺ツエ系とか以外)かといって感情移入できるかって考えても、差しさわりのない男という役割なんでしょうか。
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○最強系主人公
「そういうのしか読まない」層がかなりの数いるのも事実ですが、「絶対に読まない」という層もいます。
○熱血タイプ
戦闘ものに多い。説教臭く、よく叫ぶ。身体的には一般人レベルでありながらも、どれだけボロボロになっても立ち上がるタフネスを誇る。恋愛面は割と鈍感。だが、向けられた思いには真っ直ぐに答える。
○鈍感タイプ
舞台設定が現代、恋愛もの、かつ多ヒロイン(ハーレム)ものに多い主人公。他人から向けられている恋愛感情に疎い。「やればできる」タイプが多く、ほぼ全ての能力が平凡だが何かしら特化した能力(家事など)を持つ。両親は旅行に出かけている場合が多く、一人暮らしをしている。ラノベではバカみたいに見かけるタイプ。書きやすいしウケも悪くない。一方で辟易している読者がそれなりの数いることを理解することが必要。
○へたれタイプ
流されやすく意思が弱い。特に優れた技能を有する訳でもない。ここぞという場面では行動するものの、後悔を伴うことが多く、常に葛藤を抱いている。
○トラウマタイプ
過去のトラウマからネガティブな思考を持つに至ったタイプ。「昔はヒーロー的気質を持っていた」パターンが多い。多くは大切な人(家族)を失っていて、また主人公の過去の姿を知る幼馴染みがいる場合が多い。その構造から現代学園異能の主人公に抜擢されることが多く、大概は女の子(メインヒロインか幼馴染み)がピンチに陥ったことによって熱い心を取り戻す。
○ストイックタイプ
目的に向かってただ邁進していくタイプ。感情表現に乏しく、無駄がない。凄まじい忍耐力と、自ら危険に踏み込んでゆける蛮勇を兼ね備える。何があってもその思考回路は絶対にブレることがない。自尊心は強いが優越感はゼロ。
http://ncode.syosetu.com/n7270l/20/引用 (ちゃんと貼れよー)
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と、色々見かけます。ですがその牽引性として、誰かの想いを背負って戦うor行動することが多いと思います。本作の主人公は、その想いを誰よりも早く察し、理解しながらも、ストレートなやり方でそれを発揮することはあまりありません。
面白さと悲しみをどう期待するか、で本作の評価は変わりそうです。というかその二つを期待する風に構成されているように見せていますが、すると肩透かしをくらうはず。幾つもの感動シーンや、ここぞの場面は用意されております。が、どれもあと一歩。
表面的なストーリーラインとして観ると分かりづらい作品なんじゃないかなと感じました。何分ストーリーかキャラで楽しむことがアニメの主流である気がするし、その感覚は誰でもあるはずです。上記したような主人公は数あれど、本人目線で楽しむ作品はそうありません。熱血主人公にしても誰かしらの、皆の想いを背負って戦っているわけですので。
長々と描いてしまいしたが、本作の主人公は鼠男みたいなやつです。大勢のあれはこれはという劇の中央にいながら、風車を回すように物語を遠巻きに、社に構えてもいます。こういうのは時代劇とかによくあって、普段はぶらぶらしてるくせに、人間的に魅力で、夜は盗人をやっているような詐欺師みたいなヤロです。
誰かの想いとか熱いものを背負ってはいる。だけども素直にそれを表に出さない矢三郎。この時はこうなっていたのかー、なんてのも人によってはあるかもしれない作り。そんなわけで、矢三郎視点(裏)だけを注視して見てみるのも一つの楽しみ方かもしれないでござる(前置き長)