STONE さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.0
作画 : 5.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
何が復讐に駆り立てるのか
テレビシリーズの続編ではあるが、テイストはかなり異なる。
単純に劇場公開映画であるために作画は良くなっているし、監督が違うことによる演出の
違いもあるみたい。
更にテレビシリーズは静かな田舎町が舞台で静的印象が強かったのに対して、本作は東京と
いう都会が舞台であるため、喧噪溢れる動的なイメージ。
先の作画の向上に関連するが、繁華街などは背景の一部である群衆がよく動いているため、
都会の賑わいがより感じられる。この賑わいに対比するように、更衣 小夜が異質な存在である
ことがより感じられる。
話の展開もテレビシリーズはホラーテイストの中、小夜とその周辺の謎解きが軸であったの
対して、本作は小夜の七原 文人への復讐が主軸となっており、異形の存在である
「古きもの」こそ登場して、相変わらず血をまき散らしてくれるが、良くも悪くもホラーもの
というより、異能バトルのアクションものの色合いを強く感じる。
そして、偽りの記憶が無くなり、復讐の念に駆られる中、もうおだやかでやさしさに溢れた
小夜はいない。
小夜を復讐に駆り立てるものは何か?。自身にとっては茶番でしかない文人の実験材料に
されたことによる憤りもあるのだろうが、柊 真奈との会話などから推測するに、仮に偽りの
父であり、偽りの友人であったとしても、小夜自身が体験したこと自体は真実であり、彼らに
情が湧き、その敵討ちであるためのよう。
自身が人でないと判っていても、人を殺すことができないのは、この情があるためなのか。
一方の文人であるが、本作における人から「古きもの」を作る計画も、「古きもの」を食料と
する小夜を思っての行動であるようで、テレビシリーズから一環して小夜に対しての愛情が
感じられる。それが歪んだ形の愛であるにしても。
テレビシリーズにおいて人語を喋る犬が「対価が・・・」と言っていたので、「もしや」と
思っていたが、本作で四月一日 君尋が登場するに及んで、やはり「XXXHOLiC」とリンク
していた。CLAMPつながり?。そう言えば犬も四月一日も福山 潤だったなと。
小夜が日本刀を手に入れるために払った対価は何だったのだろう?。