くろゆき* さんの感想・評価
3.6
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
「『今』が無くなったら『未来』もなくなる」 「『未来』の為に『今』があるんだろ!」
お金の話だとか、バトルものだとか、心理戦的なのとかを期待して見るとたぶんガッカリします。そういう人達が低評価をつけていることからもそれは明らか。
つまり、明快な作品を好む人には物足りないし、流し見にも向かない。「C」は、作品を見ながら、主人公と一緒に悩んだり、考えたりするようなアニメです。そういうのが好きな人は好きでしょう。
このアニメのテーマは、「現在と未来」という言わば正解のないもので、それを具現化するために経済と絡ませたという感じ。
主人公が葛藤する要素がふんだんに散りばめられていて、効果的に(真剣に見ている)視聴者を悩ませたと思います。
具体的には、三國、サトウ、宣野座、大学の先生とか、数々のアントレの想い・賭けて戦っているものが葛藤の主な要因。
中でも、キミマロが未来を守る決断をした要因としては、父親と真朱の存在が大きかったと思う。
父親を信じられずにいたキミマロだが、「現に今君は生きているじゃないか」というサトウの言葉にハッとする。俺もハッとした。父親は、自分の命を捨ててまで未来を守ったのだ。キミマロは、未来を守ることの意味に気付き始める。
未来ってなんなのかわかんない。そんなのは当然。まったく保証がないし、逆にいくらでも可能性があるから。
そんな未来を守りたいと強く思わせたのが、未来が具現化したという真朱の存在。未来ってなんなのかわかんないけど、真朱が未来なら、俺は未来を守りたいってキミマロは変わっていく。
けれど、それは同時に、現在の真朱を未来へ返すこと、真朱との別れを意味しているのが、この作品の設定の憎いところ。そう、実はこの作品は真朱とキミマロの恋の物語でもある。
真朱のかわいさは、視聴者受けを狙った単なる萌えとも言えるが、それ以上に葛藤を深くすることに大きな効果があった。
カップ麺から始まり、最終回にキスまで持っていったのは、良い演出だった。俺はなかなかグッと来ました。
最後、結局真朱の正体がわからないまま作品が終わってしまったけど、この作品においてはそうあるべきだと思います。
「未来はどうなるのかわからない。けど逆にいくらでも可能性があるだろ?」ってのがこの作品の大事なポイントですから。未来(真朱の正体)は自由に想像してくださいってことでしょう。