退会済のユーザー さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
無慈悲だけど、こういうマリーさんもいいかなって。
監督は、シュタインズ・ゲートなどを手がけた佐藤卓哉さん。
「運命に手招きされ彷徨う明日は」(「killy killy JOKER」(OP)歌詞より引用)
見た目とは相反して、メランコリックな作風で、「まどマギ」や「ローゼンメイデン」を思い出させるような、可愛らしいキャラクターデザインとは裏腹に残酷な描写が多いです。カードバトル物と言うよりかは、ドラマにありがちな泥々した人間関係を売りに出しているような描き方ですね。
ルーザーには、無慈悲な運命が与えられます。茎が引きちぎられたように不憫な花、そんな感覚のようです。
OPの幻想的で、歌詞が残酷さが表すように、このアニメの本質もそれに近いです。
バトル描写は苦手なのでしょうか?
カードバトルの場面では、戦闘よりも心理描写が中心になっていました。岡田麿里さんらしくて、私は好きなのですが、カードの販売促進のための作品だと考えれば、ルールに触れなかった事はマイナス要素になり兼ねないかもしれませんね。カードゲームの中身には触れないことになりますから。
でも、私は好きです。人によって、ルールが分からないとバトル描写を楽しめないという人が、いるかもしれないので、そういう人にはこの作品は合わないかもしれません。
岡田麿里さんがシリーズ構成を務めているため、人間関係を描く描写が繊細で、言葉遣いがとてもフェミニン。単語や文章が論理的ではなく、感情や表情で訴えかけるようなシーンが多いです。心理描写が格段に上手いのが特徴的で、ルールが分からなくても、心理描写を楽しめてしまうため、バトル描写の「単調さ」も気にならないのですよね。十人十色、人によって意見が変わって当然です。
この作品をエンターテイメントとして観れるかどうかの基準は、バトル描写を心理描写として楽しめるか否かですね。やっぱり。
↓ネタバレ
{netabare}
誰でも分かることですが、本作の心が動かされるポイントは、どうにもならない不憫な運命を抱えた少女がいるということ。特に、遊月と香月の関係は残酷ですよね。姉が弟のことを好きになってしまう。そんな社会では認められない恋をしてしまった遊月。願いを叶えるために、他のセレクターの夢を壊しながら、やっと無限少女になれるという所で、真実を明かされます。
結局、彼女が望んでいた香月と結ばれるという夢を叶えるのは、花代さんなのですよね。そういう「理不尽さ」が人の心を動かすドラマの作りであって、本作の魅力でもあるのです。
これから2期が放送されますが、遊月と花代、香月くんのエピソードはどういう風に回収するのでしょうか...。
もしかしたら、放置なのかもしれませんし、過去に岡田麿里さんが担当した作品を見ると、キャラクターが何らかの精神的な成長をすることが多いので、本作もそういったものが見れるのかもしれませんね。
一衣、晶、伊緒奈、タマ...。1期でとことんにまで丁寧な心理描写をしてくれましたが、回収されるのは2期のようです。特にタマは、無限少女になったセレクターが行く幻想世界と何か関係がありそうですね。この伏線をどう回収するのかが、2期の最重要ポイントになってくるのではないでしょうか。
{/netabare}
■総評
伏線が回収されていない所は、2期を観ないと評価の仕様がありません。
しかし、前半だけでも感情を動かされるような演出が多かったので、設定と演出、心理描写の上手さを評価しておきます。ルールが説明されていないので、バトル描写だけはマイナスですが、心理描写で補ってくれているので、そこが好みの分かれる部分でしょうね。
メランコリックな作風が好きな方、岡田麿里さんが好きな方、泥々した人間関係が好きな方は、観てみてはいかがでしょうか?