退会済のユーザー さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
アイドルを形作るのは、大勢の人の努力と絆
アイドルアニメが群雄割拠している中、山本寛監督が打ち出したリアル路線のローカルアイドルによるサクセスストーリー。
以下あらすじ
{netabare}
活動中ではあるものの、ほぼ活動休止状態となっていた「グリーンリーヴス・エンタテインメント」事務所所属のアイドルユニット「Wake Up, Girls!」。
社長が行方不明のため活動再開は困難だったが、マネージャーの松田はメンバーの意欲にも押され、少しずつ再起に努めていく。
弱小事務所の無名アイドル達は果たして表舞台で活躍できるようになるのか。
{/netabare}
見終わって思ったのは、これはアイドルもの/美少女ものという括りで見るべきものではなく、アイドルを通して万人に向けて夢や希望を与えるメッセージ性が強く表れているということでした。
アイドルが夢を与えている=ファンや周りの人々もまたアイドルに元気を与えている=人はお互いに支え合って幸せになれる
というようなアイドルを俯瞰的に捉えた物語の構成が非常に良かったと思います。
『アイドルがアイドルたりえるのはアイドルのおかげだけじゃない』『アイドルが幸せにするのは自分自身じゃなくて周りにいる人達』『幸せな人間は周りの人間も幸せにできる』
など、終盤に掛けてこのアニメが伝えたかった前向きなメッセージがどんどん伝わってきて想像以上に良い余韻に浸ることができました。
彼女たちがライブ前に組む円陣、あれこそがアイドルの象徴なのではないかと思います。
正直に言って序盤は暗い雰囲気であまり面白い展開であるとは思えませんでした。
しかし、マネージャーが連れてきた凄腕プロデューサーの早坂さんやWake Up, Girls!(以下WUG)を支える古株ファンの大田、そして強力なライバルグループ「I-1クラブ」のメンバーなど、脇を固める個性的なキャラが活躍するようになると加速的に面白くなっていきました。
アイドル、つまりWUG単体で見ればそれほどずば抜けて印象的な集団ではないかもしれません。
彼女たちを支えるファンや家族の存在に注目するようになると、途端にその苦しむ姿や頑張る姿が強く心に響くようになると思います。
ネックはやはり作画。
相当に予算や時間が差し迫っていたようで、作画の崩れやブレは悪い意味で気になってしまうレベルです。全体で考えてギリギリ4.0って位で。
音楽に関しては、主題歌・挿入歌・BGM等かなり完成度が高いと思いました。WUGのキャストの歌唱力はそこまで高くないですが、それを補って余りあるほど素晴らしいと感じられたのは神前暁さんのおかげでしょうか。
OPの「タチアガレ!」「7 girls war」や挿入歌「極上スマイル」のノリの良さ、EDの「言の葉 青葉」の心地よさ、外れなしだと思います。
声優およびキャラで良かったのは、まず片山実波役の田中美海さん。WUGのメンバーはキャラとキャストの名前が一致しているので覚えやすくて良いですね。特にみなみさんが好きです。
それからI-1岩崎志保役の大坪由佳さん、近藤麻衣役の加藤英美里さん、相沢菜野花役の福原香織さん辺りのメンバー。良いライバルの存在が物語を盛り上げてくれました。
非常に掴み所がなく、異彩を放っていた早坂さん役の鈴村健一さん。このアニメで一番好きなキャラかもしれないです。
後はやはり、WUGファンの太田役の下野さんが最高でした(笑) 某女子プロレスアニメと同じく、孤軍奮闘する彼らファンの姿には感動します。
色々このアニメに関しては色眼鏡で見てしまう人もいるでしょう。
でも自分はこのアニメを見て、スタッフの「このアニメを見ている人を元気にしよう!」というようなエネルギーを感じました。
名作と言うには至らぬ点も多々あるでしょうが、もっと多くの人に見てもらいたいと思えたアニメです。