青陽 さんの感想・評価
3.6
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
大人女子って言葉、矛盾してない?
どこかではないここ感想
前からNHKで放送されてるのは知ってたけど、大人女子って言葉が引っかかって観てませんでした。
ただ今回はどこかではないここというタイトルが気になったので観てみることにしました。少年ジャンプを読む大人の女性もいるし、別にいいよね。
大人の女性向けなだけあって非常に現実的なストーリーでした。
ドラマでもできる話だけど、現実的な内容なぶんアニメで描かれると逆にくるものがありますね。
でも木村多江演じる主人公の女性。独白の部分や日常会話はいい演技だったけど、叫ぶシーンや怒鳴るシーンはやはりアニメだと少し演技に違和感がありました。
私は未婚だし男だけど、これは主人公視点で観てると精神的にキツいです。個人的には秒速5cmよりきつかった。特に
主人公が疲れて眠ってしまって起きたらあたりは暗くなってて、急いで夕飯の準備しなきゃいけないのに母親から愚痴めいた電話がかかってきて、さらに雨が降っていても夫は妻にそれを告げるだけで洗濯物取り入れようとしないし…ってシーンはリアルで観てるこっちにもストレスが伝わってきました。イクメンなんて呼ばれる協力的な男性が増えたとはいえ、ああいう夫はまだ多くいそうですねえ…
家族としてみると
父息子、母娘それぞれが似てたかなと感じました。父も息子もどこかのんきに生きてるけど、それに対して主人公と娘はよほど現実を見ている。
主人公は夫が「ここではないどこか」を見ていると感じてたけど、実はそれは主人公も…だった。彼女はここで生きてるけど活きてないというか。
表面的には実母や家族のために一生懸命生きている主人公だけど、滅私というには自分を殺しすぎていて、娘との対話より眠りを優先したくなるほど日々の生活に疲れてしまっていて…感情が麻痺してるのか家族に対する愛情はかなり薄れている。そんな風に感じました。
バイト先の男、ハマーってあだ名を聞いた瞬間笑っちゃいましたが
あいつがただヤりたいだけの猿みたいな奴じゃなくて、主人公の状況を理解して相談に乗ったり支えてくれるような本当に彼女を思う人間だったら…彼女はきっと浮気してしまっていたでしょう。主人公に悩みを打ち明けられる相手が居なかったのはかわいそうです…
にしても、娘は母親が夜遅くまでパートに出てることを知らなかったんかな?知ってたら(昼間とはいえ)疲れて寝ている母親にあんなこと言えないでしょ…
でも娘の気持ちもわからないでもないからなあ…
娘からしたら
母親は家族を愛して家族のために尽くしてるのではなく、母親としての役割をこなすため自分を犠牲にして辛そうに生きてるように見えたでしょう。
娘も主人公と同じ女性であるがゆえに、母親を見ていると自分の将来もこうなってしまうのではないかという漠然とした恐れがあったのでしょう。ずっとそんな母の様子をそばで見てきて…でも家に帰るのが憂鬱で出て行きたくなるってのはよほど嫌だったんだろうなあ。
しかし、あの看護師の女性は少し非常識に感じました。男との同棲を止めるためとはいえ、両親の許可も確認せず、確認させずに勝手に部屋に来るよう話を進めてしまうなんて…。せめて家を訪れたときに主人公へ謝罪するとか、それ以前にもっと話し合いの場を設ける努力をすべきでしょ。それどころか軽く主人公を非難するような発言していって。「じゃあ」ジャネーだろ!この物語でハマーの次に、下手したらハマー以上に気に食わない人物でしたYO…
でも、この件をきっかけに自分の生き方というか考え方が変わったみたい。
吹っ切れて自分の気持ちをはっきり言うようになり少し前向きになりました。
何を考えてるかわからない、と中学のころ同級生に思われてたくらいだから
昔から自分の気持ちを表に出さない出せないタイプだったんだろうなあ。
ただ息子はとばっちりを受けた感が強いけど(笑
母の悩みを知らないのんきな息子からしたら
急にお前のものは俺のもの宣言されて、それに文句言ったらふざけんなと言われ叩かれて…母親がジャイアンになったように感じたかもね。
これをきっかけに家族の関係が良いほうに変わることを祈ります。
作画とかキャラは作品の性質上特筆する部分はないけど、物語としては良いと思います。主人公と同じような境遇の既婚女性が見たら非常に心が救われるでしょう!