ひげ さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
監督の自叙伝にもなってる?妄想偉人伝
紅の豚に続き模型誌連載で原作のアニメ化。
堀越二郎の著書『零戦』の前半部分などをベースにした監督の裏のライフワーク、妄想漫画です。
九試を描きたい、しかも一号機(あの翼は1号機しかないそうです)、あれこそ美しい飛行機だ、そのリビドーがほとばしっていました。
その流れから超マニアックです。ストーリーはシンプルですが会話は何いってるかわからないひとがたくさん、いや9割なんじゃないでしょうか。
庵野監督の声量が微妙とかじゃなくて・・。
『新機種に採用するのは複葉機か単葉機』か、程度で済ませとけばいいのですが、そんなもんは知ってて当たり前だろ?といわんばかりに、触れもしない、もっとマニアックな専門用語とマニア向けのメタ、ジョークが飛び交う三菱重工社内、そこに勤める東大卒天才エンジニアの古臭いラブストーリーが進んでいきます。
堀越さんご本人が書かれている本では当たり前ですが恋愛要素はありません。忙しくて死にそう 正月に子供と遊んだとかそれだけです。
それどころか『零戦の改良なんかほっといてこっちの言う通りにすれば烈風ガン積みできてちょっとはマシな戦争になったのに・・・』(私の勝手な意訳ですが)こんなオジイサマです。文章から本音が見え隠れしてですね、庶民でないというか常人とは感覚がちがうんです。ちょっと飛躍ですがまさに悪魔に魂を売ちゃってる、だからラストシーンや演出のベースがあの古典なんでしょう。監督もボンボンの天才なんてこんなもんだ、自分も含めてとそういいたかったのかな。
原作漫画ではけっこう申し訳程度の小説『風立ちぬ』要素でしたがアニメではカビ臭いを通り越し熟成された大正ロマンな感じでなかなかいい。むしろミリオタ要素が邪魔してるような・・・。
頭から作っていくスタンスと製作期間の問題でか、エンディングを無理やり畳み込むのは相変わらずです。
ええ・・もうおわりなの?
やっとBDがでるので見直したいところがけっこうあります。
まず震災みて地震の表現をしたかったんじゃないか・・と?
すごい不謹慎なのですが表現者として実際に目にしてしまったからには作画してみたかったのじゃないかと。原作マンガにはありません。
あと毎度画面にでる帽子、風の向き、タバコ あのドイツ人のオジさんなどなどなにかしらの暗喩なんだと思いますがわかりません。
わたしの教養が足らないと怒られてるんですねこれは。
鳳翔さんもじっくりみたい、長門型?いましたよね
一部の登場人物の台詞回しやドアの開け閉めにいたる細部の仕草もいまの日本ではあまりみられなくなったもので非常に美しくもう一度観たいです。
で個人的にどーでもいいけど気になるのが七?九?試のどっちかでエンジンのイナーシャーをまわすハンドルの方向・・零戦とかと逆というか反時計ってするのかなぁ。力をいれずらいような・・あぶないし。
あんな飛行機の資料があるのかしら。気になります。