らしたー さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
これを言っちゃうとズルイのだけど。
時間をおいて断続的な視聴をしていたせいか、いい感じに設定を忘れながら最後まで。
話の筋を忘れながらも、途中で視聴をやめるという選択肢はついぞ浮かばなかったし、実際、観終わったときにちゃんと面白いと思えた。それにとどまらず、「これは自分が思っているよりもっと面白い作品だったのだろう」などと、意味不明な補正までつく始末。とりあえず傑作というラベルを貼って記憶の中にとどめることにいささかの躊躇もなく。
いっぽうで、この作品が評価されることの本質ってどこにあるのだろう、と素朴な疑問が湧いた。
テンポがいいとか王道を駆け抜けてるとか懐古趣味を刺激するとか、そういうのは方法論であって、人を強く惹きつける決定打にはならないと思っている。
これを言っちゃうとズルイのだけど、やっぱし制作熱量の差というか、なんか新しいものを作ってやろう(しかもちゃんと楽しめる新しいものを)とか、アニメでしか表現し得ない娯楽を送り出そうとか、そういう強靭な意志なり覚悟なりが、ほかのアニメと比べて二段階くらいギア高めに入ってたのだろうと、そういう結論にしかたどり着かないわけで。
アート面も含めてまちがいなく一個の独自世界を作り上げたと思うし、そのために費やされた制作体力やいかばかりかと想像するに、なにやら熱いものがこみ上げてきたりこなかったりしてしまうのです。
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すごいなと思ったのは、終盤にかけての脇役の見せ場の作り方。それぞれに輝ける場をきちんと用意してあげる心遣いは繊細というほかなく、ふたりのヒロインをめぐる物語がキリキリと燃え上がっていく中、けして勢いだけに酔うことなく、数式でもあるんかってくらい緻密に、綿密に、脇役それぞれに見せ場を割り振っているところ。
そういうのが「燃える展開」を彩る上で大事な要素であるのは過去多くの作品が証明してきたことではあるものの、しれっとそれができちゃうのはやはり賞賛に値する手腕だろうと。
だってほら単純な話、「この作品にとって脇役は何人が適切か」てところまで話が遡るわけでして、まずそこをコントロールできてないとお話にならないわけでしょう。それが当たり前のように出来てるってことに尊敬の念を抱かずにはいられない。簡単なことであるはずがないのです。
あらゆる面で、凄まじいまでの技術を感じた一作。
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でもこの、なんなんですかね、「エロ」じゃなくて「お色気」と表現したくなる、この感じ。
何をどうやったらそうなるんでしょうか。
誰かコツ教えてください。