きゃん315 さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.5
作画 : 2.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
仮面の下の涙を拭え……
・物語の評価
人類の宇宙進出の夢――軌道エレベーター〈オービタルリング〉が、突如襲来した“ラダム”という宇宙生物によって占拠されるところから物語は始まります。
〈スペースナイツ〉の一員であるアキとノアルは地球上のラダム樹(ラダムが地球に産み落としていく。禍々しい木々が生い茂る)の調査を行っている最中、宇宙の〈オービタルリング〉では、テッカマンブレード(Dボゥイ)がテッカマンダガー率いるラダム獣軍団と激戦を繰り広げていた。しかし、その戦いで傷を負ったブレードは重力に引かれ、まるで隕石のように地球へ落下する。
そこで偶然にもアキ、ノアルとブレード(Dボゥイ)は対面するのだが……。
序章を自分なりに書き出してみました。見たのが一年前なので思い出しながら書いています。そのため、記憶の混濁による誤謬はお許し下さい。
この作品のストーリーを簡単に言うと「悲惨、悲惨、悲惨」
展開が転がる度に、主人公のDボゥイを襲う悲劇は日本アニメーション屈指のものといえるでしょう。兄弟やかつての仲間と殺し合いをしたり、妹が弟に殺されたり、必殺技を放つ度に記憶が消えたり(後述)……。
最終回、〈スペースナイツ〉のリーダー、フリーマンの台詞も心に響きます。
どんな台詞なのかは是非、この作品を見て知りましょう!
・作画の評価
外国発注(確か韓国だったかな?)&作画監督がコロコロ変わるので比較的作画は安定しませんし、大張正己氏が担当したOP通りにキャラクターは登場しません(『大張さんのOP作画が再現できない!』と言われたらしい)。
上記にもある通り、大張氏の担当したOPは一見の価値ありです。前期、後期ともに素晴らしく(個人的には後期が好き)、日本アニメーション屈指の出来といえるでしょう(後期Verは元妻の石田敦子氏も参加していると思われる、キャラ作画が明らかにそっちよりだった)。
・声優の評価
このテッカマンブレードという作品、声優の伝説が二つほどあります。
一つは主人公を務めた森川さんによる“マイククラッシャー”
二つは主人公の弟を務めた子安さんによる“これが残念だったら声優を辞める”
それほど、この作品は声優の気合が入っています。
上の二人だけではなく、徐々に人気が出てきた林原さんや、松本さんも参加しています。鈴置さんや若本さんといったベテラン勢も輝いています。
・音楽の評価
OP、EDともに素晴らしい! 小坂由美子さんの重音女性ヴォーカルが物語の悲壮さ、叫びたくなるような消失感を演出しています。
・キャラの評価
主人公がいて、主人公のライバル(弟)がいて、主人公の恋仲がいて、それを茶化す同僚がいて、主人公を発起させるサブキャラがいて……。
物語をなす上で必要最低限のキャラクターが存在します。
いらないキャラなど居ません。この作品は余計なキャラが誰一人として存在しません。
・総評
この作品の嫌なところ。それは敵対する相手が肉親、同胞であり、彼らには主人公とともに過ごした日々の記憶が残っているということ。
普通なら洗脳されれば記憶が抹消されたり、擬似人格を生み出したりするのだろうが、この作品――とりわけ、テッカマンエビル(弟)は違う。
確かに『エビル死す!』で、自分は洗脳されていたと言っていたが、明らかに主人公に対する嫉妬、コンプレックスに託けたもので、敵はただ、それを増強しただけなのだ。
記憶がある仲間、肉親をあなたは殺せますか?
そして、本作品で忘れてはならないのが必殺技『ボルテッカ』の存在。
肩部から放出するそれは、ラダム獣なんて一撃で灰燼と化すことができる。そしてブレードの強化版〈ブラスターテッカマン〉から放たれるボルテッカの強化版〈ブラスターボルテッカ〉はそれの何十倍もの威力を誇る。
だが〈ブラスター化〉にも弱点があり、その強力な力を得るために記憶を失う。しかし、ブレードは地球のため、仲間のために記憶を失ってでも戦い続ける――孤独な戦士であった。