無毒蠍 さんの感想・評価
3.2
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
誰もが偉大な芸術家になれるわけではないが、誰が偉大な芸術家になってもおかしくはない。これはリトルシェフと呼ばれる小さな料理人の物語です…
ネズミのくせにやたらと料理にうるさいレミーと有名レストラン「グストー」で
雑用係として働くことになったリングイニが料理人として二人三脚で協力していくお話です。
レミーはネズミなんだけど他のネズミみたいにゴミ拾って食べたりとかに抵抗があり、
出来る事ならちゃんとした食材で調理したものを味わいたいと思ってるグルメ。
ですがネズミなので料理しようとしても人間に見つかったら終わりだし難しい問題でした。
家族とも離れ離れになって困り果ててた時にリングイニに出会うのですが
リングイニは料理の才能はまったくなく、レミーがリングイニのスープに手を加えたことにより、
リングイニの評価が上がりここからレミーとリングイニとの二人三脚が始まるのですが
レミーは亡きオーナーであるグストーのファンで料理人としての彼に憧れていたようです。
グストーが亡くなったと知ったときは意気消沈してたんだけど
時々グストーの幻みたいなのとレミーは会話してるんです。
幻のグストー曰くレミーの空想らしいですがグストーが実際は死んでても
レミーの中では生き続けているというメッセージがこめられたシーンに感じました。
レミーは料理人としての腕は一流だけど料理人としての心構えに欠ける印象。
やはりネズミなのか食料を盗むことへの抵抗があまりないんですよね、
リングイニに咎められてからはやらなくなってましたが
そういうところはネズミらしかったです。
逆にリングイニのほうは料理の腕は全然だけどそういった事はちゃんとしてます。
まぁそういったアンバランスな二人だからこそパートナーとして面白い関係が築けたんだろうね。
最初は歓迎されてなかったリングイニが
レミーのおかげで立場を確立させていくシンデレラストーリー?
特に料理長のスキナーからは嫌われていて作中で一番の障害的キャラクターでした。
レミーはリングイニの帽子の中に入って髪を引っ張ることで
彼をコントロールするのですがマリオネットみたいでユニークでした(笑)
この作品の一番大きなテーマはやはりグストーの名言…
「誰にでも料理は出来る」という言葉に集約されてるんじゃないかな。
ネズミだって料理は出来る!というのはもちろんのこと、
作品関係なく誰にだっていくらでもチャンスはあるし可能性は広がってる、
そんなことを作品を通して言われたような気がします。
終盤でネズミが料理をつくってたと知ったシェフたちは店を去っていきます。
コレットというリングイニと密接な関係を築いた女性シェフも同様に去りますが
彼女だけは後に戻ってくるんです、その時彼女はグストーの看板を見ていました。
おそらく彼の「誰にでも料理は出来る」という言葉を思い出していたのでしょう。
唯一の女性として働いてきたコレットが一番レミーの気持ちがわかるのかもね…
女というだけで認められない悔しさを知ってる彼女だからこそ…
全員戻ってきて大団円ともいきませんし、結局店もネズミの件で潰れちゃうけど
それを切欠に新しい道も切り開けてみんな幸せそうだったので万々歳だね。
評論家イーゴがレミーの料理を食べた瞬間過去を回想したシーンが好きです。
ああいう表現は日本っぽいとか思っちゃうんだけど意外とそうでもないのかな?w
イーゴが料理の評論など微塵も考えていなかった幼少時代…
母のつくったラタトゥイユを美味しい美味しいと食べていたあの時代…
彼はレミーのラタトゥイユを食べて料理を愛したきっかけを思い出したのかもしれません。
料理をつくってくれてた母を愛していたからこそ、その料理を愛していた。
年を重ねるごとに忘れていた感情と想い出を呼び覚まさせるシーンだと思います。
おふくろの味に勝るものは無し…王道だけど良いシーンでした。
個人的にファインディング・ニモやMr.インクレディブルのほうが好きなんだけど
レミーのおいしいレストランも面白かったです。
幸せな気持ちになれる温かさがディズニーの魅力ですよね!
【A80点】