STONE さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
確信犯によるドタバタSF
原作は既読だが、いかんせん連載時に読んだためにストーリーなどは
すっかり忘れていた。
90年代の作品を何故今頃アニメ化?と思わないでもなかったが、
クールでシュールな雰囲気のこの作品はむしろ今の方が時代の空気に
合っており、むしろ今頃になってアニメ化して成功だったような。
一応、王子が介在することで、話が進んでいくが、実質的主人公は
各話に登場して王子のトラブルに巻き込まれる人達で、王子を
ストーリーテラーとするオムニバス形式と思った方がいいかも。
話はどこまでシリアスで、どこまでがギャグなのか判らない
シュールな感じで進んでいく。感じとしては筒井康隆のハチャメチャSFを
思わせる。
宇宙人の王子が人間社会にやってくるというシチュエーションは
異文化交流モノだが、通常の異文化交流モノが、互いの常識観念の
差異により笑いを生み出すパターンなのに対して、この作品の場合は
王子が確信犯でトラブルを引き起こしており、そういう意味では、過去の
作品では「パタリロ」なんかが一番近いかなと思う。実際、
クラフト隊長はバンコラン的立ち位置のキャラだったし。
各話のストーリーのレベルが高かった。視聴者の予想を裏切るような
ドンデン返しの展開が多く、だまされる快感みたいなものが生じる。
話によって、コミカル要素が強かったり、ホラーテイストだったり、
ファンタジー色があったり、ミステリー要素が強かったりと、ベクトルが
異なり、人によってどの話が好みかは別れそう。そのため平均化すると、
ちょっと面白い作品ぐらいの位置付けになるかも。
オムニバス形式と書いてしまったが、最終回で1本のラインが
できており、この辺の構成力は見事。
また、この作品は王子と巻き込まれるキャラ達とのやり取りが面白い
反面、魅力的なヒロインがいないという弱点を持っていたが、最後に隠し球的ヒロインが登場したのにも驚いた。
娯楽性に富みながらも、知的な雰囲気を終始持っていた作品でした。