rurube さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
間違いなく傑作。
まずこの話は宮沢賢治についての作品読んでないといけないのだろうが読んだこと無いので置いとく。
この作品の素晴らしい所は毎週毎週興味の持続に成功している事だろう。
ペンギンのおかげでエンターテイメント性がだいぶ向上している。
正直、面白い部類の作品では無いと思う。内容が内容だし。
しかも内容を要約すると「愛とは何か?」これだけだ。これだけの話を説明するのに24話も使っている。でも傑作。
「愛とは何か?」という命題に対して解釈はいくらでも出来るだろう。言ってみれば人それぞれだからだ。重要なのはこの監督がこの命題に対してどれだけ紳士に立ち向かったかである。
主要人物3人の生い立ちとその周りの人々。彼らがなぜ生きているのか?何のために生きているのか?それは最初の命題に沿って話が進展して行く。
一見関係ない話が全て最初の命題につながっているのだ。
人が生きていけるのは題名の通り「輪るピングドラム」を誰かから受け取ったからであり、また人が生きるのは誰かにそれを輪る為である。
アニメの最後に二人の少年が宮沢賢治について話している
「だからさ林檎は宇宙そのものなんだよ。
手の平に乗る宇宙。
この世界とあっちの世界を繋ぐものだよ」
「あっちの世界?」
「カンパネルラや他の乗客が向かってる世界だよ」
「それと林檎になんの関係があるんだ?」
「つまり、
林檎は愛による死を自ら選択した者への
ご褒美でもあるんだよ」
「でも、死んだら全部おしまいじゃん」
「おしまいじゃないよ!
むしろ、そこから始まるって賢治は言いたいんだ」
わかる気がするからこの作品は凄い。『銀河鉄道の夜』の読んでないのに納得できるのは作品がちゃんと積みあがっているからだろう。このセリフだけがあっても意味無いし馬鹿にされるだけ。ここに至るまでの過程があるからこそ素直にこのセリフを受け入れる事が出来る。
間違いなくここ10年では一番のアニメだと思う。
とりあえず『銀河鉄道の夜』読もう。
で『銀河鉄道の夜』を読んでみたのだが全く分らん。
そもそも銀河鉄道の乗客が死者なのか怪しい。少なくともジョバンニは生きているのと最後に出るカンパネルラの母親も死者なのか幻想なのかはっきりと分らない。
基本的に乗客は死者なんだろうがもしそうだとするならばジョバンニはなぜ銀河鉄道に乗る事が出来たのか。
分るところは「本当の幸せとはなんでしょう」最後のセリフの「僕はもうみんなの幸せのためならば100ぺん体を焼かれてもかまわない」ぐらいだった。この二つは間違いなく命題か問いの答えになる部分のはず。
それとこの話、キリスト教と仏教の話がまぜこぜで出てくる。特にサウザンクロスで乗客が降りて二人が残されるのだが、サウザンクロスは楽園に到着した事を表している。主人公がここで降りないのは仏教徒だからではないか?宮沢賢治は仏教徒らしいし。
ひとつ言える事は『銀河鉄道の夜』を理解する為には宮沢賢治本人を理解しないといけないという事。幾原邦彦監督は良く勉強なされて作られているのが分りました。輪るピングドラムを観て思うことは『減が鉄道に夜』の主人公はカンパネルラなんじゃないのかな。ジョバンニが列車に乗れたのは自己犠牲を行なったカンパネルラへのご褒美だったんではないか。その結果ジョバンニは最後のほうで自己犠牲の精神をしっかりと受け取っている。
そしてその自己犠牲を受け取ったジョバンニはあっちの世界からこっちの世界に帰ることが出来た。一応、カンパネルラの思いはそこから続く事になるしね。良く分らないけど『銀河鉄道の夜』は確かに面白い。