plm さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
芯のしっかりしたキャラクター達
新アニメに興味を引かれたせいもあって、初めはのんびり観ていたものの、
終わってみればやっぱり、トップクラスに楽しめていた信頼の「銀の匙」だった。
振り返ってみると、副ぶちょーの話、障害ジャンプ、エゾノー祭、駒場牧場、そして御影の夢。
1期に比べ2期は、失敗や挫折、夢を諦めなければならない現実問題といったものが多くでてくる。
そこで大きなテーマとして「一度失敗した人間にチャンスはないのか」が投げかけられていたと思う。
このテーマは、主人公八軒が経験してきた出来事に結びついていて、
3、4話での馬術部の試合、障害ジャンプの話では、
「飛べなかった馬でも、自信を失わないためにもう一度飛ぶチャンスを与えられるんだ」ということ、
6話あたりでは「くず芋でもフライにしてやれば美味しく食べれる、そいつなりのやりようがある」
といったこと、こういうエピソードが八軒の経験になって、形成された人物像なのだとわかるからこそ
でてくる台詞、このテーマに説得力があると思える。
「銀の匙」の登場人物は八軒に限らず、バックボーンがしっかりしているから奥行きを感じられる。
(バックボーン、つまり思想・信条などの背景にあり、それを成り立たせている考え方のこと。)
八軒の母親にしたってそうで、メールで「美味しかった」と嘘をついたことにも、
母親の考え方、理由があったからこそだったんだ。それが分かったとき、八軒の成長も感じられたし、
物事には一面から見えないことがあるんだと気付かされるのだった。
このシーンがしみじみとしつつも、なんて綿密なキャラクター造形なんだ、と圧倒される。
本当にキャラクター一人一人が活き活きとそれぞれの道を歩んでいる実感が湧いてくる。
そこが「銀の匙」の凄いところだなぁ、と自分は思う。
「一度失敗した人間にチャンスはないのか」?
例え失敗して落ちこぼれたとしても、そこから前向きに頑張っている人には道があってほしいね。