STONE さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 2.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
人のつながりが、夢を現実に変えていく
原作は既読。
一言で言えば、大変よくできたストーリーで、2年に渡る長期放映だったので、何度も感動
させられた。更に南波 六太を始め、登場キャラの多くが自分の夢に向かって進む展開ゆえに、
前向きな気分にもなれる。
また宇宙飛行士という普段目にすることができない世界の試験や訓練の内容も興味深かった。
設定的には近未来の話なので、どこまで現実に近いのかは判りませんが。
展開的には六太の宇宙飛行士へ目指す過程を中心に描かれているが、この長い過程は冗長的な
ものではなく、段階ごとにクリアすべき課題があり、それをクリアすると次の課題が現れて、と
いった感じでメリハリがあるのもいい。
主役の六太だが、元々高スペックだし、強運の持ち主であったりするが、一番の強みは皆から
好かれることかな、と思う。いくら個としても強くても、やはり他者とのつながりが重要である
ことを改めて思い知らされる。
人から好かれるには、相手に自分を知ってもらう必要があるわけだが、六太の場合は
古谷 やすし、新田 零次、吾妻 滝生、ビンセント・ボールド、ピコ・ノートンとの出会いは
決していいものではなかった。
自分もそうだが、多くの人は苦手なタイプや、自分に好印象を持っていない人との接触は
避けたり、最低限の付き合いにとどめたりするのではないだろうか。
しかし、六太はこういった相手でも避けずにちゃんと向き合っていき、最終的には仲良く
なってしまう。フィクションとはいえ、こういったスタンスは本当に凄く、見習いたいもの。
この六太と、弟の日々人とのつながりも魅力的で、金子・シャロンの言うように、先を行く
日々人が六太を引っ張りつつも、日々人が立ち止まるような時は六太が後押しをしてくれると
いう、非常にいい関係。
南波兄弟以外のキャラをしっかり描いてくれるのも嬉しいところで、真壁 ケンジ、
伊東 せりかといった主要キャラはもちろん、各展開で現れるキャラもそれぞれが主役といった
感じのドラマがあったりする。こういったしっかりしたキャラの掘り下げは2年という長尺の
メリットがおおいに活きている感じ。
演出的には伏線の張り方が上手い。かなり前に張られていた伏線が、後になって活きてくる
ことも多々。これを意図してやっていたのなら相当な構成力だし、後付でなされたのなら、その
発想力に恐れ入る。
先に結果を描き、後でその過程を描くという倒置法的演出が多いのもこの作品の特徴で、
これは原作者の好みなのかなと思う。この倒置法は使い方によって時系列順に描くより劇的に
なる効果があるが、毎週観ている分にはあまり気にならなかったが、まとめて観るとちょっと
くどいかなという感はあった。
ストーリー展開やキャラの描き方などは非常に素晴らしかったが、手放しで褒められない
ところもある。
まずは作画、特に人物画の乱れがひどい回が結構ある。この辺はスケジュールの問題なの
かなと思ったりしたけど。
作画に関しては人物以外にも、ハード(建物、物)関係のディティール描写が甘かったり、適当
だったりする。一昔前の作品なら許されたかもしれないが、最近の他作品のこの辺の頑張りを
見ると、もっと頑張ってほしいなと思ってしまう。
あと後半は主にアメリカが舞台になるが、そこでのスペルミスも気になった。この辺は
チェックする人がいなかったのだろうか。
キャストに関しては大人キャラ主体ということもあって、実力派のベテラン中心でかなり安定
感を感じた。
凄いなと思ったのは沢城 みゆきさんで、伊東 せりか、南波 六太の少年時代、真壁 風佳、
パグのアポととにかく多役。更にせりかの少女時代があったり、風佳も2歳と5歳で演技を
分けており、加えて「Mr.ヒビット」の雌キャラクターもやったりと大活躍。多くできれば
いいというものではないだろうが、やはり素直に評価したい。