ソラ さんの感想・評価
4.3
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
ピンポンダッシュ
スポーツを題材にした作品ってのはその競技をエンタメとして前面に出して、解説を絡めた脚本で深みを加えようとしているものが多く、大抵、作者が昔題材にしたスポーツをやっていて、好きで今でもやるし、プロアマ問わず試合も見たりしている大ファン、みたいな思い出補正ガンガンで情熱溢れる人が描こうとすると爽やかなスポ根として出来上がるのでしょう。そういうオーソドックスなものも大多数の消費者にとって安心して楽しめる人気コンテンツだし、個人的にもたまに見たくなるコンテンツではあります。
しかし、これはその逆に近い、鬱屈した脚本、人物描写が主要で、競技という名のエンタメ要素はおまけとしている作品がピンポンなのです。という分かりにくいですがそんな感覚。
それは多分、作者が卓球に対して特別な思い出補正がなく、だがしかしスポーツ少年だった松本さんだからこそ描ける客観性なのでしょう。松本さん、インタビューで『かっこいいから!』って理由で卓球にしたって言っており、憧れていた側面が強かったらしいし。
天才の孤高と凡人の挫折、理想の勝者と敗者の現実、これら二つの差異、二項対立論を残酷に表現することに長けている。エンタメでそういうメンタリティを描くことは困難なのですが、なかなか上手く仕上がっています。
選手が負ける時に回想を出す演出も好印象。
結局、人には100%の努力と100%の才能が必要って言いたいのだろうか。
それと、他のスポーツ題材にした作品と違うのは言うまでもなく脚本力。例えば4話での、
『自分が何者か分かっている才能のあるものは最初から何も望まない。
自分が何者か分からない者ほど、もがいて、勝って何かを証明したいんだよ。』
ってセリフがしわじわ心に響くんですよね。スポーツ文学、スポーツ哲学というやつでしょうか、これは、スポーツものだという以前に自分が何者であるか証明したい話、なのだと位置づけてしまっている。自己同一性、モラトリアム。人物描写はけっこう使い古されたものなのですが、スポーツものでもこういう試みをしようってのは珍しく素晴しいと思います。
でも『血は鉄の味がする』のくだりが多過ぎてくどかったなぁ・・・
結局は哀愁漂う爽やかスポ根なわけだし、そういう趣向でも充分楽しめるので中々万能な作品でした。
オープニングの爆弾ジェニーいいよね。最近これ聴きまくってる。
合いの手の練習密かにやってる。
ピンポンに感化されて先日やってた世界卓球見てたら、なんか卓球やりたくなってきた。きっと私だけじゃないはず。
卓球日本代表の皆さん、メダルおめでとうございます。お疲れ様でした。
スポーツとか見てるとつい泣いちゃうんだよね・・・西田敏行並の涙腺の緩さ。
今期の江ノ島枠、ピンポン、ベイビーステップ、最後から二番目の恋、あと極黒、一週間フレンズにも何気に出てきたよね。見るたび行きたくなる。