てけ さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ザ・ワールド
P.A.WORKSによるオリジナルアニメーション。
「花咲くいろは」の大ファンなので期待していました。
絵は期待通りとてもきれいでした。
潮風でさび付いた鉄、光が当たって輝く水、木漏れ日にレンズフレア。
音響にも気合が入っています。
風の音、足音、水中の「空気感」。
サウンドと背景は文句なし。
臨場感抜群のすばらしい出来でした。
ただ、水の抵抗の描写がやや不足気味。
水中で物体がすと~んと落ちるのはちょっと違和感。
そのへんにも気を遣ってくれれば、もう文句なしの6.0点だったのに……。
減点1.0です。
内容は、海の中にある「海村」に住む人々と、地上の人々のラブストーリーです。
登場人物は三角関係どころか、五角も六角もある複雑な関係です。
そして、子どもから子どもへ、子どもから大人へ、大人から子どもへ、大人から大人へ。
あらゆるパターンの恋愛模様が描かれているのが特徴的です。
最初はその複雑な関係に面食らいます。
しかも、キャラがあまり自己主張していません。
したがって序盤は、だれが何を考えているかよくわからないです。
何気なくながめていたら置いてけぼりを食らうかも。
しかし、相関図を頭にたたき込んで感情移入すると、一気におもしろくなります。
勝負は8話あたりから。
キャラクターたちが引き立ち始めます。
心理的な距離が物理的な距離に反映されているのも印象深かったです。
また、「引き」のうまさが相乗効果を発揮しています。
次の話へのつなぎが上手で、ぐいぐいと引き込まれます。
EDテーマの入り方は秀逸です。
そして中盤には予想外の展開が!
おもしろさの大爆発でした。
テーマは「変化」。
時を超えて人の気持ちはどう変わっていくのか。
変わらないものこそが正しいのか。
それとも変化し続けることが正しいのか。
そんな問いを投げかけてきます。
私は変わったっていいと思うんですよ。
結ばれているわけではないのに、ひとりを想い続けるなんて、並大抵の努力じゃできません。
そのあいだは幸せとはほど遠い感情に苦しむことになります。
自分の幸せを一番に願って何が悪い!
以下、経験談。
{netabare}
小学校から中学校を卒業するまで、私には好きな人がいました。
それだけ長ければもはや周知の事実です。
相手もそのことに気付いていました。
そして中学を卒業する前。
なんと相手から「付き合おう」と言ってきたじゃありませんか。
しかし、何を思ったか私は断ってしまいました……。
結局、自分に嘘をついていただけ。
「気持ちが変わっていない」という事実が、一種の誇りになっていたんですね。
でも、実際のところは違っていた。
昔の恋心が今も続いていると思い込んでいただけ。
つまり、ちさき状態です。
終盤には、ちさきにシンパシーを感じていました。
{/netabare}
……まあ、それはともかくとして。
作画、演出、音楽、サウンド、キャラクター、どれをとってもハイレベルな作品。
見応えたっぷりなアニメでした。