蓬(Yomogi) さんの感想・評価
2.7
物語 : 2.0
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 1.0
状態:観終わった
タイトルなし
作画とか、背景とか、画面に関する事は前作同様。
もう京アニはどんな回でも乱れるという事がない。
大変綺麗です。素晴らしいです。
演出も教科書通りに盛り上げるところ、笑わせるとこと、泣かせるところを仕上げてる。
挿入歌などはしっかり画面に乗せてくるので効果倍増。
安定感は抜群だった。
さて、この作品で一番気になった事は何かと言うと脚本である。
それは前作同様で、その甘さがあまりに目につく。
以下、(主に主人公に対する)文句。
おそらくゲームのシナリオ自体が緩いのだと推測される。
台詞の言葉選びにキレがない。
キャラクタが饒舌すぎる。
なにより話の運びがあまりに不自然。
芽衣編では男子高校生が女子小学生をいじめるのだが、それを土壇場まで許容する主人公・朋也の思考回路が理解できない。
なぜ止めない?明らかに間違っているだろう?
また高3年になっても進路を自分で決めない優柔不断さ。
病気で卒業できない渚にむかって「一生じゃなきゃ卒業したくない」と訳の分からない駄々をこる。
あげく就職も進学もせず彼女の家に居候。
朋也視点で見ているから優しい人の好意に助けられたような印象を受けるけど、要はヒモでプー太郎と同義なのでは?
なのに奴はなんであんなに偉そうなんだろう。不思議でならない。
一番変だと思うのは周りが朋也に優しすぎということ。
優しすぎて気持ち悪い。
甘やかすにもほどがあるだろう。
特に渚の両親はの態度はおかし過ぎる。
早苗が優しい仏役だとしたら、秋生は乗り越えるべき壁にならなければならない。
なのに逃げ腰になる朋也を励ましたり負担を軽くしてあげたりと、手取り足取りしてあげている。
彼は本当に娘を持つ男親なんだろうか?
こんなのが娘の彼氏で腹が立たないのか?不安じゃないのだろうか?
この作品から受けた印象を言葉にすると「お膳立て」というのがすぐに思いつく。
それに象徴されるのが第1話の野球のエピソードだ。
結局あれは朋也の最後の一打の為に脇役たちが全力で「お膳立て」してあげるエピソードだった。
それに有紀寧編の土手での喧嘩もパンで朋也以外が腹を壊すという、あり得ない「お膳立て」の上に成り立つエピソード。
こういた話の展開が重なると
「どうぜ流れは朋也に重い腰を上げさせて美味しい役を割り当てるためのお膳立てなんだよね」
とお話そのものに対して白けてしまうのだ。
そして一番許容できないのは汐に対する育児放棄。
子供が出来たら甘えてる場合ではないはずなのに、その子供にさえ甘えた態度をとることに本当に腹が立った。
(この時の古河夫妻の対応も絶対におかしい)
あげくの果てに病気の子供を外に連れ出して死なせるなんて、無責任にもほどがある。
セカチューなら分かるよ、アレは子供が駆け落ちする話だからね。
でも朋也は父親だろう?子供を守る責任があるだろう?
何が「好きなようにさせてやりたい」だ。
自分は子供が大人にいじめられる話が大嫌いなので、朋也に対する怒りのあまり、ストーリーが頭に入ってこなかった。
プロットにはきっとこう書いてある。
「汐の容態悪化、朋也は汐の望みを叶えるため外に連れ出すが汐は息絶えてしまう」
しかしそこに至るまでの脚本が浅い、浅過ぎる。
人物の行動に説得力がないので一つのアクションをとっても疑問符がついて回ってしまうのだ。
それはどんなに演出や音楽で盛り上げても押し切れるものではなく、たとえ上手く行っても誤摩化された感が残ってしまう。
ラストの渚生き返りエンドも腑に落ちない。
生き返る事は知っていたから驚きはしなかったけど、アレでは朋也の夢落ちと変わらないのではないか?
(死んだのが夢、むしろ生き返ってからラストまでが夢にも見える)
キャンセルされるエピソードは幾ら積み上げても、その価値はゼロに戻ってしまうため限りなく夢落ちに近い。
ましてや祖母の話で親子の確執に決着がついて、汐と二人で生きていく覚悟を決めたのに。
普通の話だったらここで最終回で綺麗にエンドだろう。
しかし、なぜやり直しさせる!
前回「神様家族」で人生は何度でもやり直しできる、というメッセージが素晴らしいと褒めたけど、本当にやり直しさせるやつがあるか!
アニメ単独の作品としてはやはり脚本が苦しかった。
ゲーム上の構成でこそ面白さの本質がある作品なのだろうね……。
でも朋也に全く感情移入できなかったよ。
はあ。