「長靴をはいた猫(アニメ映画)」

総合得点
65.7
感想・評価
24
棚に入れた
95
ランキング
3220
★★★★☆ 3.6 (24)
物語
3.6
作画
3.7
声優
3.5
音楽
3.5
キャラ
3.7

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ネタバレ

蓬(Yomogi) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

タイトルなし

15年ぶりくらいだろうか。
テープが駄目になるくらい見た。ナウシカの次くらいには見たと思う。
幼稚園の送迎バスの中ですでに主題歌うたってたはず。
子供の頃にこんなのに夢中になってたら、そりゃ立派なオタクになりますわ。
だっておもしろすぎだもの。

フルアニメの暖かい演技が秀逸。
ディズニーを意識しただろうミュージカルシーンが前半を盛り上げ、後半は魔王の城を舞台にアクション満載、正に手に汗握る展開。
「絶対面白い映画を作るんだ!」というスタッフの気合いさえ感じる東映の娯楽長編だった。

シナリオは童話をベースにロマンス、活劇、コメディの要素を加えて王道エンタテインメントに変更。
コミカルなサブキャラが効果的に配置されていてバランスがいい。
というか、前半はサブキャラで持たせた印象がある。

また進行もメリハリがあって飽きさせない。
昼のシーン、夜のシーン、クライマックスは夜明けと共に。
また農村に始まり街へ、次にお城から敵の本拠地へ、舞台もサクサク移動。
80分ほどの子供にもちょうどいい長さでぎゅっと面白さが詰まっている。

主人公とお姫様が平凡な造形なのは残念だか、その分ペロの魅力が炸裂。
この映画でペロを好きにならない人はいないのでは?
自分はこういう飄々としつつ愛嬌たっぷりのキャラは大好きで、子供心に「ペロちゃんと冒険したら楽しいだろうな」と思ったものです。
しかし、一番忘れられないのは水森亜土が声を当てているチビ猫殺し屋。可愛過ぎる!

大人になって見て分かったことが2つ。

一つ目はこの作品がきちんと映画になっていること。
シナリオや演出に退屈なところが全くなく、シーンのつなぎ、カメラワークなどが視聴者をぐいぐいと画面に引き込む作りになっている。
ミュージカルやコメディパートが素晴らしかったのはよく覚えていたのだけれど、画面の構図の美しさというのまでは今回見るまで分からなかった。

外国のアニメ映画に比べ、画面を引きにしてみたり、あおってみたり、肩越しにしてみたりと、実写に近い感じで人物を写しているように感じたのだが、それは東映が実写映画のノウハウを持っていたからだろうか?
正直凡庸な主人公たちでドラマを展開できたのは、そういった方向からの工夫が施されていたからだと思う。

また一つのシーンがだらける前に次々と場面が転換し、そのつなぎさえも淀みがない。
とくにペロのアップから振り向きにつないでのシーン転換は本当に気持ちいい。
こーゆー王道中の王道、たまりません。

2つ目は、後半のアクションシーンは明らかに宮崎駿のカラーがにじみ出ているということ。
面白い作品とは覚えていたけれど、本当にここまで宮崎色が明確だとは覚えていなかった。

足癖の悪い魔王はコナンだし、逃げる姫とそれを追う魔王のシーンはラピュタのロボット兵に追われるシータそのもの。
また屋根の上でのちびネズミと魔王の追いかけっこはカリオストロの城の原型だろう。
この魔王の城のデザインは宮崎さんおアイデアとのことだが、一目でポール=グリモーの「王と鳥」(やぶにらみの暴君)がベースにあるのが分かる。
ラストは城を完全に崩壊させたかったのではないだろうか。ラピュタみたいに。

全体を通して異なる種類の面白さがミックスされたような映画だな、と感じた。
例えるなら「ひょっこりひょうたん島」と「未来少年コナン」を足して2で割った感じ。
まあ、脚本が井上ひさし氏山本譲久氏のひょうたん島コンビということで、まさにその通りなんだけど。

もちろん自分は「ひょうたん島」も好きですよ。
「まま、いいってことよ」をはじめとするペロちゃんの名台詞はいつ聴いても痛快です。

投稿 : 2014/04/15
閲覧 : 472
サンキュー:

5

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