アニメ視聴記録置き場 さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
魔性・藤宮香織
【物語】
1週間で消えてしまう記憶という仕掛けは面白かったけれど、人間関係の移り変わりを描くに際して仕掛けは蔑ろにされた印象。原作が4コマぽいから、そもそもがシリアスな作品では無いのかもしれないけれど、感動的とは言えない物語だった。
【声優】
雨宮天という名前は知ってたけど、演技してる所を意識して聴くのはこの作品が初。冷静に聴けば無理して出してる声色なのに、キャラには嵌まって聴こえた。人柄や声に余計な前印象が無かったのが功を奏したかな。桐生役の細谷さんも、チャイカとこれとで名前を覚えた。乾いていてぶっきらぼうな声がよく合っていた。
【キャラ】
藤宮さんの外見があんなじゃなかったら、この物語は始まりも終わりもなかった、というのは元も子もない話か。作中で言われてたように、いっそ全てが藤宮さんの掌の上だというifでも見たい。より魅力的なキャラになりそう。
長谷は印象が河合荘の宇佐と被る。どっちも女性作者の描く男性主人公のテンプレなのかもしれない。桐生も山岸も味があった。登場人物少なくても1クール出来ただけはある。
【作画】
この作品の最大の長所は藤宮香織が可愛く描かれていることだと思う。パステルカラーの水彩画みたいな絵柄と、作品の穏やかな雰囲気がマッチしていた。最後まで美しさを保ってたので目の保養になりました。
【音楽】
厳密にはキャラソンだけれど、『奏』は2014春を代表するアニソンになった気がする。
12話「友達になってください。」
大晦日に街を散歩してて偶然に藤宮と出会い、なんやかんやでわだかまりも解けて、新学期もタイトルの台詞を2人で言ってお終い。
「本人に聞けよ」が地の桐生が、さっさと山岸本人に聞いてたのは有言実行で良いですね。長谷も藤宮もさらっと嘘を吐くのと比べれば天使やで。「じゃあまた」のかすれ具合といい藤宮悪女説は自分の中で確固たるものに。
神社前後の風景の書き込みがかなり頑張ってた。ロケ地がありそう。絵に関しては最後の最後まで隙を見せなかったな。長谷の食ってたクレープの包装紙がどっかに消えたくらいか。
叫ぶような台詞の最後の部分で空を写す演出ってよく見るな。人物ずっとよりは白けないで済むから有りがたいけれども、ポジティブな効果もありそうではある。
長谷と藤宮の"友達"に関して、クラスの連中はもう彼氏彼女として認識してるよと匂わせる最後の教室でのカットだった。自分は途中で心情を追いかけるのは諦めてしまったけど、そっち方面だとどうだったんだろうな。長谷も日記書いてたのは予想通り。
11話「大切なトモダチ。」
九条が転校する直前の事情を聞いて記憶喪失の切っ掛けがわかり、長谷は自分本位で藤宮に近づくことに躊躇いを覚え始めるといった辺り。
九条とも打ち解け始めてる辺り長谷の人たらしっぷりは中々のもの。回想シーンで母親の話を思い出してたけれど、11月から何ヶ月前かって話ではある。アニメ的な表現だといえばそれまでだけれど。長谷も日記付けてそう。
クラスメイトに田辺がいた。分かりやすい声。山岸桐生感も微妙に拗れてるんで、そこら辺を全て解消させての最終回への流れかな。絵はずっと綺麗。
10話「友達とトモダチ。」
藤宮の記憶がリセットされたので、友達になってくださいから再開する長谷。藤宮の言動に苛立つ九条に、長谷が記憶の事情を説明するが、といった辺りまで。
当人を目の前にして「俺こいつ嫌い」という台詞を喋らせる脚本の正気を疑う。原作まんまだと思いたい。努力が無駄にされた気がするといった台詞も首を傾げたくなる。少し泣く。のもわからん。
日記に書いてあったから作ってきた、という藤宮の思考回路はどうなってるんだろう。いっそ、全てが藤宮視点で語られた方が興味深い作品になったのではという気すらしてくる。小学校の頃に九条に抜け駆けで告白して、周囲の女子にバッシングを喰らったという過去はオープンにされた。
山岸に冗談半分でプロポーズされて紅潮する桐生。お前もか。
なんかdisばっかだな。珍しく風にたなびいてる藤宮の髪のカットは綺麗だったと思いました。
9話「友達との最終日。」
夏休み最後の日の宿題と、休み明け初日に転校生が来て藤宮が倒れて記憶が消えるまで。
リアルでばんざいする人ってあんまり見ないな。腋を見せるのは抵抗があるのは生物学的な本能だったりするんだろうか。幼女藤宮の写真の構図が良い。変に炊き付けたりする謎母親。数学の過程と結果の話はなるほどな。
2人だけになっちゃったね?とか言いつつどぎまぎする長谷には首を傾げるまさに悪女。滑って押し倒すのはアニメじゃよくあるけれど、長谷の両足が藤宮の体を挟み込んでないのは良い構図。
お話を動かすための便利な装置が記憶喪失なので、都合よく消えたりするのはしょうがないな。憤るだけ無駄か。
8話「友達と海。」
海に行った話。タイトルまんまだな
夕焼けとか天の川の美術が頑張ってた。キラキラさせすぎだけれども。
グループで動いてる所から2人で誘い出すこの手口、wixossでも見た奴だ。ほのかちゃんより藤宮さんの方が恐ろしい気がするけれどもな。
新キャラの浅沼さんがどれくらい引っ掻き回すやら。
7話「『ほっ』の友達。/『ふぅ』の友達。」
AとBでの別タイトル。ショートエピソードを重ねるアニメじゃないのにこのパターンは珍しいかも。
藤宮さんが一般的な恋愛感情を長谷に対して持ってないのは、Aの体育中の女子の会話からも見えてたものね。今後でお話を動かして行くとしたらそこら辺になるんだろうか。『ほっ』の感情が何を指すのか少し分からなかった。前言と矛盾するけれど、無自覚の独占欲?
椅子に乗るときは、背もたれを壁側にしましょう。これ大事。
桐生がかなり世話焼きになり始めてる。薄い本だと彼は大活躍するんだろうな。
毎日のように日の照ってる屋上にいるのに、藤宮も長谷も真っ白ですね。一週間フレンズ。というタイトルが壊れ始めてる。
6話「友達の母親。」
勉強しに藤宮さんちに遊びにいったら、ママンから密会しようってメモを貰ったお話。
長谷が男キャラなのに、たまこみたいなアホ毛があるな。成績悪いから文字通りのアホ毛なのか。男の髪の長さじゃ抜けた髪が引っ掛からない限りはあんな風にならないと思うのだけれどな。長谷君の中の人の、少し震える感じの声の出し方が、上手いとは思うけれど苦手というか軽くイラッとくる。
家に訪れた時の屋根の上からの見下ろすアングルが面白かった。家の高さが強調されて豪邸感が強まる。実際は2階建てっぽいのに。
毒のない中原さんの無邪気な母親役、あそこまで割り切られると少し違和感が。最初はwixossの一衣の母みたいだったんだろうか。あのメモ書きで落ち合えるのも凄い。下手に連絡先が書いてあると生々しいから仕方ないか。
山岸のばいばーいに対して、男が2人とも無反応なのもどうなんだろう。
ラストの藤宮さんの台詞「楽しみにしてていいですか」が敬語だったのが少し良いなと思いました。
5話「新しい友達。」
週またいでも記憶が残り始めると、ノートがどうとか関係なくなってくるな。今後どーなってくやら。
4話「友達とのけんか。」
桐生に嫉妬した長谷と軽い喧嘩になった藤宮が、帰り道にトラブルってノートを無くしてしまい、記憶の補完が無いままに翌週を迎えたお話。関係が大きく変わる話だからこそ、丁寧に描いて欲しかった。
桐生が上手く立ち回って解決したことになってるけれども、2話で藤宮が見せた自分の記憶の欠落に関する推察描写はなんだったのかってなった。
長谷は限界を突破しないラインでいらっと来るナイスキャラ。
3話「友達の友達。」
卵焼きのシーンは藤宮さんの"友達"が重いというか、もう恋人でいいだろ感はあった。授業中に抜け出した藤宮さんを追いかける姿とか、第三者から見れば彼氏以外の何者でもなさそう。惚気られるために屋上に連れてこられたのかと将吾が思っても無理はない。
同級生女子2人の物語への組み込まれっぷりも、もう少し丁寧で良かった気がするな。藤宮さんから2人への台詞が、あんまりシックリ来なかった。人間関係が全てみたいな作品だけに、そこらはキッチリお願いしたい。
授業中とかのジト目の藤宮さんが逆にツボってきた。物語が佳境に入って、主人公をあんな目で見始めたらゾクゾクしてしまいそう。
あと、エピローグでの主人公の語りである「このときの俺はそう思っていたんだ」に関して、アニメのEDでは頻繁に使われる手法だけれど、物語がどういう視点から記述されているかって、割と重要な問題だと思うんだけれどな。どうも、次回以降に請うご期待のニュアンスで気軽に使われすぎてる気がする。
2話
記憶を無くすリミットを挟みつつ1話で1週間を描くのが、30分1クールのテレビアニメという放映スタイルと素晴らしく合致してる。
母との会話や屋上でのやりとりで、友人との記憶が無くなる自分の症状に関して、藤宮さんが推論交えつつ論理立てて向き合ってたのが印象的。日記ノートに関して「前に」という台詞が小さく挟まってたので、過去にも似たような経験をしてるのだろう。過去の自分との自己同一性を保ち続けられるのかが今後の1つのトピックになりそう。
主人公も相手の事情や心情を慮れる言動をしてるので気持ちよく見られる。