蓬(Yomogi) さんの感想・評価
2.9
物語 : 2.0
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 1.5
状態:観終わった
タイトルなし
絵についてはもう、これが京アニクオリティというものを堪能させてもらった。
可愛いよ、ほんと、無条件で可愛いよ。
どのカットでも版権絵のような可愛さ。デッサンの狂い一切なし。
なんど一時停止をしたことか。できることなら全部トレースしたい。
京都アニメーションのキャラはエッジが少なく立体感があって、服や指先はふんわり柔らかそう。
動きも可愛らしさを突き詰めているので、風子は犯罪的に可愛かった。
幻想世界の表現は1秒24枚のフルアニメーション。
超綺麗なんだけど、フルアニメーションってCGの動きに似てくるんだよね。
ヌルヌルしていて面白い。
演出もサービス精神満点でどの回でも面白さに抜かりない。
特に春原が話全体を盛り上げ進行させるいいキャラクタになっていた。
ていうか自分だったら春原に惚れるけどなあ。
また光の加減が絶妙。
春のふんわり霞がかった雰囲気がでていて画面全体に情緒が出ていた。
夕方のシーンなど特に最高。
以下辛口です。
脚本については原作がマルチエンディングのゲームなのだから、本来なら目くじらを立ててもしょうがない。
つまり、サブヒロインのエピソードは全切りで良い。
風子エピソードにいたっては結局記憶が消えて初期状態に戻るだけなので、見ても見なくてもどちらでも良い。
また物語中一番気になったのは、ヒロイン渚が演劇部を立ち上げると言っているのにどう見ても演劇がたいして好きそうに感じられないところ。
なんで演劇だったんだろう。
幻想物語が作りたいなら文芸部で一人で小説や絵本を書けば良いではないか。
演劇が好きな人など一人もいない演劇部の劇で最終回でも共感できない。
もっともいただけなかったのは、渚の父親が渚に言った言葉。
「子供の夢が親の夢なんだよ!俺達は俺達の夢をお前に託したんだ!」
ごめんなさい。本当に個人的ですがこの台詞だけは許せない。
子供の夢を自分の夢にすり替えるのは、無自覚の詭弁です。
過剰に反論するのも大人げないが、このシーンでしらけた。
とにかく全体が幻想的な話、つまりファンタジーである。
コントラストが弱い柔らかい世界観で、美しい絵本のような話と思ってみると渚と朋也の恋物語として丁寧な作りだと思う。
機会があれば劇場版も見てみよう。