蓬(Yomogi) さんの感想・評価

3.4
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態：観終わった

タイトルなし

全体的にジャンプらしくて楽しめた作品だった。
非常に情の濃い、関係性の濃厚な感じがプンプンする。
一部コアなファンがいるのに納得する。

作画についてはレベルが高かった。
とんでもない回が何度があって、本当に驚いた。
３０話、７１話、１３３話はもう凄すぎ。
これは作画陣のストレス解消なの？と勘ぐってしまうほど。
どうやらアクロバティックに動くキャラクタは得をしたよう。
リーとサスケは全体的に作画に恵まれていた。

音楽は意外や意外、大変良かった。
邦楽器が小気味よく使用されているし、作品にあった楽曲が豊富。
使いどころも良かったと思う。

演出はまあまあ。回によっては凄く良かったが、基本的に原作に沿っているらしく、無難に落ち着いている。
原作のカメラアングルそのままと思われるカットが頻発するのはいただけない。
原作のアングルだろうなとバレるような演出はやめてほしい。
アニメは漫画じゃないんだから。

脚本は平凡だと思った。
原作付きなのでその台詞まわしがそのままなのだろうが、言葉の選び方にセンスはないかも。別に気にならない。

それよりテンポの遅さが気になった。
また構成のいい加減さが非常に気になる。
伏線は回収してほしい。できるだけ早めに。忘れちゃうから。
これは脚本家の落ち度ではないけれど。

だいたい悪役が出てくるのが遅すぎる。
また中忍試験編の途中で、いきなり木の葉崩し編に突入する展開の悪さは何とかならなかったのか。
あと綱手編からサスケ追跡編への展開。
要するに、非常に長い時間をかけているのに作中ではほとんど時間が経ってない。
それは視聴者や読者にとって実はかなりしんどい。
作中の時間の制御がいい加減なのはジャンプゆえなのか？

声優陣は非常に良かった。
ナルト、カカシ、大蛇丸はとても魅力的な演技をしていたと思う。

特に大蛇丸。ナルトの中では一番好き。
この人が画面に出てくるだけで面白さ倍増。
大蛇丸の台詞はいちいち深読みできる台詞ばかりで、非常に妄想をかき立てられます。
屈折した愛憎を滲ませた物言いにトキメキを感じる！
しかし残念なことに、おそらく原作者は私が妄想するほど大蛇丸のキャラクタ造形を複雑にはしていないはず。

なぜなら岸本氏は奥深さを匂わす演出には長けているけど、実際のエピソードに複雑系を展開したことはないから。
だからアンコとのただならぬ関係も、本当はこちらが思うほどのものではないはず。
残念だが、だからこそ妄想し甲斐があるという物だろう。


全体にキャラクタ造形は全員が情が厚い。
そして対人関係のベースに非常に強い愛情、友情がある。
師弟関係というのがまた濃い。
先生方の生徒に対する愛情目線が大人の涙を誘います。
カカシはナルトやサスケが可愛くて可愛くてしょうがない。
ナルトに至ってはカカシやイルカ、サスケが好きで好きでしょうがない。
本当に粘着質な登場人物ばかり。

敵役でさえ「愛する人を奪った憎いやつ」ではなく「愛していたのに裏切った憎いやつ」だったりする。
可愛さ余って憎さ１００倍、みたいな人間関係がドロドロ展開しているのだ。

そのあたりがこの作品の面白さを支えているような気がする。