蓬(Yomogi) さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
タイトルなし
2001年の映画なのだが3Dの技術は完成されている。
もう感情移入の妨げになることはないのがわかる。
これを見てしまうと「APPLESEED」が悔やまれる。
これはピクサーの映画なのだが、アメリカアニメの印象を変えるほど出来がいい。
まず脚本のまとめ方がうまい。
ただ上手いだけではなく、ラストの持っていき方がアメリカ映画とは思えないほど奥ゆかしい。
ちょっと寂しくて、でも最後にハートがほっこりする感じが憎い。
初めて見たとき「やられた!」と思った。
次にキャラクタの造形が魅力的。
主人公モンスター二人がサラリーマン的な性格を満ち、ユーモアも織り交ぜた大人も共感できるキャラクタ設定なっているのだ。
またキャラクタの動きも大変良い。
幼女の仕草を良く観察しており愛らしさが炸裂している。
それ以前にすべてのキャラクタの表情がとても豊かで驚く。
瞬き一つとっても左右の目のスピードが若干違う。
眉の動かし方でも歩く際の足運びでも絶妙にずれているのだ。
人の顔は左右対称ではなく、その動きも実は非対称である。
キャラクタを生き生きと見せるノウハウを持っているのだな、と感心する。
そしてこの手の映画についてまわる世界観の狭さを感じさせない。
それは世界がモンスターワールドというはじめから閉じた世界を中心に展開しているからだ。
また場面の展開も早い上、物理的な距離の移動もかなりあるからだと思う。
作中の時間経過と作中の物理的距離の制御がコントロールされているので観客を飽きさせることがない。
物理的距離といえば最大の見せ場のドアのシーンで上下運動が効果的に入っているのが面白い。
宮崎駿監督に通じるアクロバティックなシーンだと思った。
自分はディズニーでもこういう作品をもっと見たい、と思う。