「精霊の守り人(TVアニメ動画)」

総合得点
80.8
感想・評価
1231
棚に入れた
6436
ランキング
437
★★★★★ 4.1 (1231)
物語
4.2
作画
4.2
声優
3.9
音楽
3.9
キャラ
4.1

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ネタバレ

蓬(Yomogi) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

タイトルなし

自分のイメージとはだいぶ違うアニメ化で、素直に見るのに時間がかかったのが悔やまれる。
本放送のときは一回インターバル置いたし。
しかしやはりいいアニメーションでした。

辛口めで感想いきます。

キャラクタを見た瞬間の感想は
「ノースリ中華服?!仮にも旅装だぞ!つーかワキの処理をするバルサが想像できない!!」
というもの。
リアリティにこだわりがあるのは画面の隅々から伝わってくるのだけれど、この時点で小説のリアリティの方向性とは違うんだなあ、としみじみ感じた。

アニメのバルサはムダ毛も月の障りも無縁な人物に見える。
多分本当にその設定がないのだろう。
上橋氏の物語は女性作家らしい生っぽい手触りが魅力だと思っている。
(心理面でもね)
そこがアニメで表現されるのを期待していただけにショックだった。
アニメではそういう湿り気のある作品というのは皆無に等しい。
おそらく女性監督というのがほとんど存在しないからではないだろうか。
この作品もむさ苦しくなるのは致し方ないと諦めた。

全体的に男性的な語り口に再構成されている。
台詞回しは相変わらず説明臭くて理屈っぽい。
かっちり話を固めようとするのは前作の刑事ドラマの作法が抜けていないのでは?

人物が物語の中で動いているというより、物語の筋に沿ってロールプレイしているように感じる回もある。
特に13話はバルサの葛藤、内面を描き出そうとするあまり上滑りしていた。
もっとナチュラルに!頭で考えないで!

それと、主人公の有能さを際立たせるために敵側を低能に描写するのはあまり良い方法とは思えない。
子供番組だからと勧善懲悪風に仕立てたのかもしれないが、帝側の描写がプアーで白けるところがあった。

逆に刀鍛冶の話はアニメ版の味が出た良い回だったと思う。
刀鍛冶の話について「理屈っぽいなあ」と思ったのは確かだが、これがアニメ「精霊の守り人」なのだ、と妙に納得した回でもある。
取材をした成果も存分に出ていたと思う。

また一番良いと思ったのはバルサがチャグムを平手打ちする回。
「親に刃物むけるとはどういう了見だ!」というのはジーンと来た。
ここは麻吹さんの演技も秀逸!
実の親でもこういうことを言ってくれることは滅多にない。
子供の視聴者はひっぱたかれるチャグムの気持ちになって欲しいし、大人の視聴者はこの台詞をいうバルサの気持ちになって欲しい。

それまで理屈っぽく話の筋をこねてた割に、ここで一気に「理屈が何だ。私はあんたの親なんだよ」と言わんばかりのバルサが素晴らしい。
母親というよりもはやオヤジ。
体育会系のノリというか、とにかく勢いで畳み込んだ。
そういう意味でやはり男性的な視点で構築されていたように感じる。

一番気になったのはタンダの扱い。
爽やか好青年(声が辻谷さんとかありえない)なタンダなんてタンダじゃない!というのは、まあ割り切って。
ビジュアルはトグサのほうが絶対近い、というのも割り切って。
衣装がアイヌまんまじゃん、というのも割り切って。

性格設定が女々しすぎ。
バルサが親父化した分だけタンダは乙女化したようだ。
攻殻SACのバトーの未練たらたら具合にそっくりで、見ていて非常にイライラ。
そんな物欲しげな顔するくらいなら押し倒せよ、と何度画面に突っ込んだことか。
あれがいいんだ、という意見もあるだろうが、自分はどうも駄目だった。
原作のタンダは読者の目をかいくぐる甲斐性があったようだが、アニメのタンダは妖精になるまであと一年な気がする。
(本当にIG脚本チームが心配だ)

脚本についてはカチカチに硬くて説明臭くて鼻についたけど、アクロバティックな展開も見れたし、一つ一つの描写をとにかく丁寧に描いて物語を積んでいこうという努力が見られた。
もう一皮剥けてくれると本当に良いんだけど、惜しい。

絵については最高水準の作画。
日常描写もアクションも抜かりなく素晴らしかった。
短槍が中国武術風の描写なのもアニメの華やかさを求めたら妥当なところだと思う。(資料もその方が多いだろうし)

正直絵についてはあまり言う事がないなあ。
あ、背景モブのCG人物の歩きが変だった。
つま先は膝より前に出るように修正した方が良いと思う。
(もしかしてそういうナンバ歩きの設定?)
強いて言うなら、殺陣は本編のどのシーンよりもトレーラーの西尾さんの殺陣が一番好きです。

なんだかんだで物語にのめり込んでみていたので気になるのはお話のみ、という感じ。
一話一話でもしっかり感想が書けるくらい濃い脚本だった。
あの回のあの人とか、あのエピソードとか言いたい事がたんまりある!
書き出すと止まらないので、全体としてはこの辺で。

やはり他のアニメとは違うフィールドで勝負していた感がある。
海外での評価が高いのも嬉しいところ。
文句なく良作ではなく、文句ありありの大良作といった作品だった。

投稿 : 2014/04/13
閲覧 : 256
サンキュー:

3

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