蓬(Yomogi) さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
タイトルなし
予想外に綺麗に終わった印象。
なんだかんだ言いつつ全部見てしまった。
アニメでは珍しいロードムービーなので前半はノリをつかみにくい。
ただ後半にかけて話も進んできて次週が楽しみになるようになった。
前半がきついかなーと思った原因は誰を対象にした話なのか分からなかったから。
20~30代の普段アニメを見ない層に向けてだと思うが、なんか違う。
脚本は宇治田隆史の一人脚本。
最初は脚本がつまらないのだろうか、と思ったがそうではなかった。
むしろ脚本は実写に近く、作品の方向を的確に捉えていたと思う。
気が利いているとかオシャレとかじゃなくて、かったるくあっけらかんとしつつ、どこか壊れたような会話のやり取りが新鮮だった。
またハッチんの描写は凄く良かったと思う。
「モヤモヤモヤモヤさせないで!」は一番の名台詞。
ハッチン視点の物語だったのにミチコがイマイチ魅力的に思えなかったのはちょっと残念。
可愛いとは思うけど、軸がいまいち見えないキャラだった。(アツコもだけど)
もっとも良いと思ったのはシンスケの造形。
アニメでは珍しいくらい男性キャラがアクが強くて生き生きしていたのが印象的だった。
またキャラクタの魅力には声優の力も大きかった。
ミチコ役の真木よう子もハマっていたと思うし、ハッチン役の大後寿々花、ヴァネッサ役の吉高由里子は特に好み。
生っぽい演技付けが作品によくあっていた。
監督の演出意図が一番反映されていたと感じる。
既存のアニメとは違う物をやりたい、というのは全体から感じていた。
それでもまだ中途半端だなあ、というのが正直な感想。
その最大の原因が作画だと思う。
クオリティ自体は日本のアニメのトップ水準だし、他のアニメだったら絶賛したいところだけど、作品自体のベクトルと作画のベクトルが合ってなかったように感じた。
第一にキャラクタデザインが既存のアニメから抜けきれていない。
影の付け方、色指定、芝居の付け方、どれをとっても作品の雰囲気から浮いているように感じる。
もっと独創的なデザインで良かったのではないか?
後半の途中のCMからリストランテ・パラディーゾの番宣が入るようになってから余計にそう感じた。
自分はこの話をこの作画で見たくなかった。
この作画ではまるでジャパニメーションの見本のようではないか。
南米の貧困の街を舞台にしているのだから、そういった雰囲気を作画にも出せなかったものか。
もっと「こんなの見た事ねぇよ!」みたいな画を見せてくれても良かったと思う。
贅沢かもしれないけど、マングローブにはそれ位を期待しても良いんじゃないだろうか?
どうでしょうかね?
あと、山本沙代監督の次回作も期待している。
ご本人が凄くミチコにそっくりなので、これ以外のアニメをどう手がけるのかが気になるところです。