「スカイクロラ - The Sky Crawlers(アニメ映画)」

総合得点
64.3
感想・評価
427
棚に入れた
1998
ランキング
3888
★★★★☆ 3.6 (427)
物語
3.6
作画
4.0
声優
3.3
音楽
3.6
キャラ
3.4

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チョビ髭 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 4.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

ツァラトゥストラほど語らない

この作品は“キルドレ”と呼ばれる私達の理とはどこか異なる存在を中心に展開される、とあるパラレルワールド。主人公はエース・パイロット【ジンロウ】の抜けた穴を埋めるべく、どこからともなく戦闘機で現れ物語が始まります。円環する世界の中キルドレたちはどんな行動をとるのか。最終的に解脱へと至る事は出来るのか。

視覚を楽しませてくれるのは、戦闘機同士でのアクロバティックな空中戦。アニメならではの特殊なアングルから描き出す迫力ある攻守のせめぎ合い、コクピットを含めた戦闘機の描き込みも上質の仕上がりに成っています。
反面、抑揚の抑えられた会話は抽象的な概念を思案しながら表面上の展開を追うといった仕様。萌えキャラも出てこないので好みが分かれるかもしれません。
音楽は押井作品から外すことはできない川井憲次氏が担当されていますので間違いありません。

【ジンロウ】はフリークスの方にとっては押井監督の手がけた【人狼】を想起させるトリガーとしての役割を果たし、『スカイクロラ』が生成した世界観の解答へ確信が持てる、そんな構成に成っていたと思われます。

視聴を終えた私は何故こんなにも監督は救いようのない、しかも危険思想と理解され兼ねない表現方法へとばかり傾倒するのかと考えさせられました。
しかししばらく悩んだ結果、別の考えへ至りました。

あれ?もしかして『GITS』、『イノセンス』も一貫したテーマで作られていないか?と。そして『天使のたまご』(一度目のレンタルで眠りに落ち、意を決し挑戦した二度目のレンタルでも睡魔に襲われどうにもならず、倍速で視聴。それでも苦痛に感じ4倍速。結果まったく理解できず人生初のお蔵入りアニメ)あれも、もしかしたら・・・。

この作品の謂わんとする事がいまいち理解できなかったという方は“ニーチェ”を中心にググってみると手っ取り早く解答へ行きつけるかと思います。
視聴されていない方はテーマ性の深い作品です。なかなかモヤッとしますが意図した思惑で奥行きのある作りに成っています。
『人狼』も併せてお薦めします。よかったらどうぞ。


『スカイクロラ』2008年公開 上映時間122分
監督:押井守
原作:森博嗣
脚本:伊藤ちひろ
キャラクターデザイン/総作画監督:西尾鉄也
メカニックデザイン:竹内敦志
音楽:川井憲次
アニメーション制作:Production I.G.

『人狼 JIN-ROH』2000年公開 上映時間98分
内容:活動家ヒロインvs公安主人公で描くデストピア

投稿 : 2014/04/14
閲覧 : 425
サンキュー:

8

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