「コードギアス 反逆のルルーシュ(TVアニメ動画)」

総合得点
92.6
感想・評価
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ランキング
19
ネタバレ

蓬(Yomogi) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

タイトルなし

「コードギアス 反逆のルルーシュ/R2」を見た。

今まで見てなかったことを後悔した。
大変面白かった。
とりあえず何が一番気に入ったかと言うと、ルルーシュが可愛過ぎる。
個人的にこのアニメは「ルルーシュをひたすら愛でるアニメ」といえる。
まさにルルーシュ一本釣り。
ああ、ルルーシュが可愛すぎて生きるのが辛い……。

作画について。
CLAMPの個性的なデザインだったが、大きな崩れもなく綺麗に動かせていた。
頭身が高く、手足が異常に長いのも見慣れてしまえば問題にはならないし、そのぶん腕の演技などには有利に働いていた。
キャラクタの表情が豊かに描かれており、演技も細部まで演出されていたと思う。
ストーリー上、感情過多な演技が要求されていたと思われるが、どのシーンでもレベルが高くキャラクタが生き生きと感じられる。
なんと言っても主人公ルルーシュの芝居がかった動き(そしてポーズ)や、悪巧みしているときの表情が素晴らしい。
後半に行くほど口がひん曲がっていくのもキャラクタの性格をよく引き出していた。

アクションもスピーディーかつテンポ良く見ていて気持ちがよい。
ロボットが登場するが殺陣のシーンのレベルが意外と高い事に驚いた。
火器なしの近接戦が多かったので画面的にも華やか。

キャラクタは女の子は可愛く、男の子は格好良くの基本がばっちり。
主要キャラが美形ばかりでもバリエーションがそろっていたので眼福。
とにかく主人公のつり目半眼美形設定は反則でしょう。

シナリオについて。
全体の展開が練られており、意表をつく構成が多い。
毎回、次回が気になる終わり方をするのでついつい続けてみてしまった。
TV放送でこのテンションを保っていたのは凄い。まさに視聴者鷲掴みである。

物語は架空の帝国ブリタニアに植民地にされた日本(エリア11)が反乱を起こすというもの。
第一話を見たときに「これは革命家の話かな?」と思ったが全く違っていた。
徹頭徹尾、主人公ルルーシュが個人的な事情で世界を引っ掻き回す話。
政治色を出すかと思いきや、ピカレスクエンターテインメントに徹していたのだ。
だからルルーシュが語る正義には中身がない。
彼には独立戦争をする明確な理由が最後までなかった。
故に独立した後の日本の政治に全く関心がなかったし、独立によって租界がどうなるかなんて考えてもなかった。
にも関わらず、自分がブリタニア人として通っている学園の日常を守りたいと思っている。
これら矛盾に全く気が付かない視野の狭さこそ、ルルーシュの可愛さの根源である。

第一話で「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」と言いブリタニア兵士を殺害するのだが、自分はここで「いやいや、覚悟が有る無しに関わらず、人を撃っちゃ駄目なんだってば!」と身を乗り出してツッコミをしてしまった。

セリフや思考回路全てが未熟で自己中心的。
行動と言動の整合性のなさ。
コロコロ変わる主張。
己の非を絶対に認めない幼稚さ。
その場の雰囲気で流される脆弱な精神。

これら全てが谷口監督と大河内さんの手のひらで絶妙にコントロールされていて、ルルーシュの魅力となっていたと思う。
膨大な突っ込みどころのある主人公を周りのキャラクタがどんどん責め立ててくれるので見ていて痛快。
ルルーシュに限らずキャラクタ同士がお互いの矛盾を指摘して対立関係を深めていく構図は見事と言える。
特にカレンは自分の突っ込みたいことを鉄拳付きで突っ込んでくれる役回りだったので大変好み。(ルルーシュへの平手打ちやスザクへの7連コンボ、ユフィへのお飾り発言)

そうした中で、学園編のキャラだけが物語の基幹に関わってこなかったのが不満が残った。
要はブリタニア人がブリタニアの植民地主義をどう思っているのか、それをキャラクタに語らせて欲しかった。
自分はヒロインの中ではシャーリー(ブリタニア人の一般人)がいまいち好きになれない。
それは彼女が自国の政策やシャルル皇帝の思想について完全ノーコメントだからだ。
気さくで明るい学園編のヒロインとして位置づけられるキャラだが、日本人の境遇に対して全く意見しないのはいただけない。
だから彼女は最後まで正ヒロインになれなかったのではなかろうか。

ヒロインといえば、この作品には正ヒロインが存在しない。
作中モテモテのルルーシュだが、彼は結局特定の女の子を選ばなかった。
女の子だけではない。ルルーシュは大事な物を抱えすぎていて、最終的にどれか一つを選べなかった気がする。

非情にならねば、と何度も繰りかえすのは、彼が全く情けを捨て得られない人間だという証明だろう。
その優しさはみんなから愛されたけれど、他人を心から愛した経験がなかった彼は全てを一人で抱え込んで自滅てしまった。

自身の浅い経験と復讐心のみをよりどころに、世界を弱者と強者の2色に塗り分けようとした所に、彼の根本的な愚かさが表れている。
本体ならば成熟した大人が物の道理を躾なければならなかった。
この作品にはそういった大人キャラが一人もいなかった。
誰一人ルルーシュに影響を与えることが出来なかったのである。

反逆のルルーシュというより反抗期のルルーシュ、というのがふさわしい作品だった。


さて、何度も言うがルルーシュが可愛い。
顔が壮絶美形なのに発想が貧乏人っぽいところが何とも言えない。
人を使い捨てるときの比喩が「ボロ雑巾」って、どんだけ庶民感覚なの…。
いままで残念なイケメン一位はスレイヤースのガウリイだったけど、この作品でルルーシュがトップに躍り出ました。

投稿 : 2014/04/13
閲覧 : 271
サンキュー:

4

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