sekimayori さんの感想・評価
3.2
物語 : 2.0
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
雑音混信モラトリ電波 【52点】
入間人間原作、S(少し)F(不思議な)青春ハーレムラブコメ。
放送当時は主人公に嫌悪感を感じ途中断念、一念発起し作業用に垂れ流してみた。
ラブコメと割り切るにはキャラがみなさん電波過ぎて疲れるので、途中から、「みーくんまーくん」の作者だしテーマ発信してるかも、と妄想しつつ視聴していました。
結果、私のアンテナでは、「前進」と「逃避」的なキーワードを受信。
ヒロインは各々、{netabare}記憶喪失、没個性な自分、家庭の事情{/netabare}などから逃げようとして電波さんに。
そこに、主人公が青春というフレームワークをもって、前を向くきっかけとして関わっていく。
(叔母さんとお婆さん+失業ロケットリーマンの話も同じ構造)
ただそれも「青春」という幻想に依存していて、それ自体から逃避っぽさも感じられるという、入れ子構造のようなトートロジーのような、絶妙に居心地の悪い感触。
要するに、「モラトリアムもの」「青春への逃避」といった文脈で捉えました。
現実は楽しいことより嫌なことの方が多くて、でも単純に明後日の方向を見つめたままではいられなくて。
だから表面上はちょっとズレてる青春を注視しつつ、ちらちら横目で前を伺って、後ろ走りでどうにか前進する日々を、斜に構えつつ肯定する。
「みーまー」から暴力性をなくして、ひりついた感じを残しつつ少しポジティブさをプラス、そして青春ラブコメという枠で口当たり良くした、という印象です。
でもこの捉え方だと星宮の存在が不可解になるし、やっぱり私は本作の周波数からずれてたっぽいです。
ストーリーの散逸とか激寒な独白・会話とか「電波女と電波男と電波女と電波女と電波アラフォー」なキャラとか、雑音が多すぎる作品のせいにしたい気持ちも少しあるけれど。
ただ、混信しまくる怪電波もキャラの(「電波」を発症する)脆さと(意固地に電波であることを貫こうとする)強さ、みたいなアンビバレンツさを象徴するようで、完走した今となっては妙に愛しくもあります。
そもそも「電波」とは何ぞ、という問いを明示すれば分かりやすい作品にはなったのでしょうが、意図的にそうした分かりやすいもの、画一的な認識を排除しようとした作品にも思えて、なかなか難しいところですね。
最後に雑感、やくしまるえつこさんの歌声がやっぱり天使、OPも中毒性高し。
あんだけ女の子とばっか絡んでたらすぐ青春ptカンストするだろ、っていうのは僻みです。
ヒロイン的には、前川さん>リュウシさん>>>エリオでした。
まともそうなのにどこかがどうしようもなく壊れてたり、若干性格悪かったりするキャラが好みなようです。
【個人的指標】 52点