弦之介様 さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ラストまで観て、はじめて「よい作品だったなぁ…」と思えた ♪
■「絶園のテンペスト」全24幕 ■
"絶園"も"テンペスト"もタイトルから内容が全く想像できなかったので、観る前に予備知識を得ようHPを観てみたところ、
『世界の命運をかけた ラブコメなのか!?』と。
このタイトルに興味をそそられて、だいぶ前に観始めたものの、中だるみして一旦断念。
"ならば、原作の漫画本から制覇しよう!"と思い読み始めたものの、やはり続かず…トホホ…。
でもまた、結局観たくなってDVD全巻借りて一気に観ました。
ちなみに、原作は城平京による漫画(全10巻)、完結しています。
■まず、この作品の設定が難しすぎて、入り込めなかった…。
序盤から、蝶が舞ったと思えば、"果実"といわれる羅漢果とパイナップルを合体させたような変な物体が空を舞い、黒鉄病(くろがねびょう)という謎の病で人がカチカチになって倒れ…さらにさらに、「はじまりの樹」とか「絶園の樹」なるものが出現。
そこに、「はじまりの樹」の加護を受ける魔法使いが出てくるのだけれど、魔法もまた「はじまりの樹」に供え物(=文明の産物や人間が造りだした高度な人工産物)をして与えられるという設定。基本的には防御魔法という。
…???…
「世の中の関節ははずれてしまった…」(『ハムレット』シェイクスピア)
わたしも、お口あんぐりであごの関節はずれそうです…
う----ん。
物語に入り込めるのに時間がかかりました。
でも、画がきれいめでキャラクターがよかったので一部傍観しながら最終話まで観ました。
…で、結果、第21幕あたりからすごくおもしろくなって目が離せなくなり第24幕(最終話)まで一気に観てしまいました。
第20幕の最後くらいから、さまざまなことがわかってきて、
愛花はなぜ死ななければいけなかったのか?
愛花の死の真相は何だったのか?
そもそも はじまりの樹 と 絶園の樹 の真実は…?
とかいう、…???… の原因になっていた、ずっと知りたかったことがわかってきて、最終話を観終わったときには、「何だかおもしろかった~♪」という印象でした。(最後まで謎な部分もありましたが)
■キャラクター、よかったです。(以下キャラクター敬称省略)
・主役:幼馴染で親友の、吉野(cv.内山昴輝さん)と真広(cv.豊永利行さん)。デザインもよいし洋服もかわいかった。ふたりの相反するキャラクター設定もおもしろみがあって好きでした。
・特に、"魔法使いの姫君:葉風(はかぜ)(cv.沢城みゆきさん)" と "真広の妹であり吉野の恋人:愛花(cv.花澤香菜さん)" からは目が離せませんでした。
沢城さんと花澤さんが各々のキャラクターを絶妙に表現されていましたね。
とてもとても万人受けしそうではないですが、わたしは愛花の持つ独特の雰囲気や人間性が魅力的に感じたし、愛花が度々会話に引用していた『ハムレット』や『テンペスト』の表現も、とっつきにくいなぁ…と思いつつ、時に引き込まれながら楽しんでいました。
ぱっつん姫カットも愛花の雰囲気によく似合っていてよかったです。
真広と吉野がたびたび口にしていた、 『不合理だ』 『理屈にあってない』 という言葉…この作品の世界観に似合う言葉で、そう言っては、自分たちの信念を突き通そうとするふたりの姿が印象的でした。
…が、世界がいきなりあんなことになってもぶれないふたりって…(^^;)と思いました(作中で、少し語られていましたけれど)
…で…結局のところ、HPににあったタイトル 『世界の命運をかけた ラブコメなのか!?』
⇒どう考えても、ラブコメとは思えなかった…(^^;)
けれど、葉風のまっすぐな…恋心は微笑ましかったし、時にみせるとっても女の子らしい表情やすごく恥ずかしそうに自分の頭をポコポコとたたく姿がとてもかわゆかったです(*ノωノ)。
■音楽
全話通して、オーケストラで奏でられる作中の音楽がすばらしかった!!
予告で流れる音楽とか、この作品の世界観だからこそありなのかなと思いました。絶妙でした。
音楽は、大島ミチル氏が担当。
数々の映画音楽やNHK(大河)ドラマを含むテレビドラマ、アニメの音楽を手掛けられていますね。
■最後に、
最終話ラストで吉野が言った
{netabare}…胡蝶の夢…ともいうね
夢みたいな力に頼らず現実に立ち向かおうか {/netabare}
という言葉。
『絶園のテンペスト』という作品はこの言葉に集約されたものだったのだろうか…?
昔から「胡蝶の夢」という言葉の響きが好きなので、スルーできなかった…のであと少し。
(余談ですが、確かアニメでは「黒執事 1期」でも、ラウが(船上でのシーンで)"…胡蝶の夢…"と言っていたと思う。時に、引用されています)
■「胡蝶の夢」というのは、中国の思想家 荘子 による説話
荘子は自分が夢の中で胡蝶(=蝶)として飛んでいたところで目が覚め、「果たして自分は蝶になった夢をみたのか、それとも今の自分は蝶が見ている夢なのか…」わからなくなってしまった というお話から、
⇒①「夢が現実なのか、現実が夢なのか」その区別がつかないことのたとえ(=夢と現実の区別は絶対的ではなく、いずれも真実で己なのだから、どちらが真実の姿なのかはどちらでもよいことなのだ…という、万物斉同の思想)
②人生のはかないことのたとえ (←wiki.その他)
ふと、"この作品の冒頭で舞っていた蝶" と "胡蝶の夢" を重ね合わせ考えてみましたが、どうにもまた混乱しそうなので、やめました(;^ω^)
脱線・長文、かたじけないです。