OZ さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
トラブルなラブも
原作は読んでいて
アニメにハマるきっかけになった
『とらドラ!』の作者である
竹宮ゆゆこ先生×J.C.STAFFと
2013秋~2014冬アニメの中で
2クール通して最も期待していた作品
■変化球ラブコメ■
高校生を軸とした作品が多い中
大学生による話は珍しく
ライトな絵柄から伝わる直球ラブコメと違い
薄暗さに包まれたシリアス寄りの変化球ラブコメ。
加えて主人公 多田 万里と
ヒロイン 加賀 香子の二人は
クセよりアクが強く
彼等の性格を受け入れられるかで
大きく評価が異なってくるかな。
物語自体は良く作られているだけに
続けて観てしまいたくなる程の
引きが強くないので
構成力不足を感じるのは惜しい。
■トラブルなラブも■
互いに自分の欠けた心と向き合う
記憶喪失の男と残念なお嬢様の恋物語。
事故により記憶を失くした万里にとって
幽霊の万里は過去そのもの。
記憶が戻るのと引き換えに
今の人格や思い出を失う恐怖から
怯えながらも過去の自分と未来を受け入れる。
一方 完璧なシナリオを求めていた香子は
始めから欠けている男 万里と出会い
振り回している様に見えて
実際は振り回されていた彼女。
出会ってまもなく二人は惹かれあい
耳をすませば「ちっ!」と舌打ちが聞こえてきそうな
傍から見るとただのバカップル。
けれど記憶喪失の障害により幸せは長く続かず
記憶を失った後に苦しまなくて済む様
本当は傍にいたくても
万里の前から姿を消す事を選ぶ。
ただの別れでは無く
出会いから今まで積み重ねてきた思い出
存在そのものを無かった事にする苦渋のリセット。
勿論 万里を想うが故の選択であり
記憶を失うまで寄り添う道も選ぶ事が出来た。
万里も同じく記憶を失うその時まで
傍にいて欲しいと願う道もあっただろう。
しかし 間もなく消えゆく彼にとって
それを強いる事は出来ず
演じているのを知りつつも
平然を装う彼女の選んだ答えを受け入れた。
互いを想い合う二人の姿にスーッと感情が溢れてくる。
失ったはずの記憶の中で
離れていても愛し続けてくれた彼女
澄みきった空の下でうわの空のまま
やがて上がる遮断機を待ち
渡る線路の先で出会えた様に
再び巡り逢えた喜びを噛み締める二人の姿は
まさにタイトル通り
輝いた時間を与えてくれたのかもしれない。
■音楽で存在させる■
今作品で印象に残ったのが音楽面。
前期OP「Golden Time」も耳馴染みの良い曲だが
後期OP「The♡World's♡End」には驚かされた。
カラフルなメロディーラインにボーカル重ね録りと
こだわりを持ちつつ
好きになったら一直線の感情的な加賀 香子を
音だけで存在させる楽曲は見事の一言。
勿論 堀江由依さんの歌声も良いのだけれど
「The♡World's♡End」に 関しては
インストのみでも充分だ。
反対に後期ED「半永久的に愛してよ♡」は
加賀 香子そのままを投影した歌詞が綴られており
こちらも負けず劣らずな一曲になっている。
音楽面が頭一つ抜けており
久し振りに音だけで胸に響いたなぁ。
■あとがき■
原作を読んだ上で改めて感じるのは
随分外してきた印象だったね。
終盤まで盛り上がりに欠けたが
ラスト3話で巻き返して魅入ってしまったよ。
押さえる箇所は押さえていたものの
残念ながらアニメ版は
一人一人の心情がかなり省かれ
柳澤 光央や岡 千波
脇を固めるキャラの内面が不透明なので
輝いていたのは二次元君とNANA先輩くらいだったな。
期待していたモノとは違っていたけれど
音楽面が予想以上で概ね満足。
惜しい評価になってしまったアニメ版だが
原作はやはり好きな作品なので
竹宮ゆゆこ先生の次回作も期待してます。
満足度 ★★★★★★★☆☆☆ (7)