弦之介様 さんの感想・評価
4.1
物語 : 5.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:----
今を生きるわたしたちに、大切なことをたくさん気づかせてくれる作品
…キャラクターデザインが好きではなく、なかなか観られずにいました。
『キャラクターデザインがだめっていう人もいるけれど、一度観てみて!』…という何人かのレビューを拝見して、"観てみよう"と思えて、結果、すばらしい作品と出会うことができました。
心より、Big thanks!(^^)!です。
■作品の余韻にひたりながら、どうしてこの作品が人々に支持されるのかな…と作品を観終わってあらためて考えてしまいました■
「クラナド」には、
人が生きていくのに普遍的に存在する社会の問題や、とりわけ感受性の高い中高生時代に感じやすい、さまざまな(家族や友達や好きな人に対する)悩みや葛藤、挫折、悲しみなどが描かれていて、それらを乗り越えていく様子が描かれています。
その中で描かれていることは、その程度や事柄が大なり小なり違っても、…人生を振り返った時に自分が経験したことがあるような内容だったり、自分に同じようなことがなくても間接的に携わったことがあるような内容だったり、今まさに自分が置かれているような境遇だったり…で、主人公達を身近に感じたり自分と重ね合わせながら物語の中に入り込めるし、共感することができるからかなぁ… と思いました。
さまざまな事を乗り越えながら、季節を経て成長していく彼らは、今を生きているわたしたちの心に響きますね。
そして、彼らはひとりじゃない。
たとえば、
岡崎くんがバスケットの3on3の試合中に心の中で叫んだ言葉:
{netabare}「なんでオレこんなにがんばってんだ?」
「勝てるわけねーだろ」「結果はわかってたんだ」
「くだらない」
「こんな(試合)するんなじゃなかった」{/netabare}
これって、きっと…人が何かに挑戦しようとした時、自分が期待する結果と違ったときに誰もが感じる、自分の中で沸き起こる感情ですよね…。
そこであきらめてしまったら、物語で描かれたような結果は生まれなかったのかもしれませんが、岡崎くんは、その時耳に飛び込んできた友達の心からの声援で救われましたね…。
■わたしに、特に印象に残ったのは "ことみ"の物語。
{netabare}両親から "たくさんの人の手をわたってことみに届いた" くまのぬいぐるみと同封されていた "ことみへの手紙"
「世界は美しい」
「悲しみと涙に満ちてさえ」
「瞳を開きなさい」
「ゆっくりと大人になりなさい…」{/netabare}
初めて涙があふれました。
これらの言葉が忘れられない。
そして、いろいろ考えながら、
あぁ…急いで大人になりすぎたな~と思いつつ、
「ゆっくりと大人になりなさい」ということみのお父さんの言葉が胸に突きささっていました。
若いときは、「早く大人になりたい」「大人になったら何かかわる」って現実逃避したくなったり急いで通り過ぎようとしがちだけれど、"ゆっくりと大人になろうとしている…いろんなことに向き合って生きている彼ら" だからこその物語なのかな…と思いました。
物語を通じて、生きていればいろんなことがあるけれど…
世界は、人は、捨てたもんじゃないだよって教えてくれたような気がします。
■流れていた音楽が、すべて素晴らしかったです。
挿入歌も、本当に印象深く残っています。
最後に、
春原くんや、渚さんの両親などがとても良い味だしていますね(^^♪
もちろん、彼らにもいろんなことがあって感動したり考えさせられるシーンがありました(渚のお父さんが、渚に自分の夢を託した…わが子を想う親の気持ちを叫んだシーンは涙出ました…)が、一方で、「ぷぷっ」と笑ってしまうようなシーンが随所にあるからこそ、この物語が重くなりすぎず観られたのかも…。
長々とすみません。本当にいろいろ考えさせられた作品でした。